第二章 一四歳になった少年 7
翌朝、起きる。
するとルナマリアは昨晩の宣言通り、朝食を作っていた。
あらかじめ持っていたのか、立派な
なかなかに
僕は
「い、いきなり
「分かりました。今度からは許可を得て脱ぎます」
「そうじゃなくて、男の目を気にしてよ」
きょとんとした顔をしながら彼女は問う。
「私の
「僕はあるの!」
そう言うと今後は
「分かりました」
と言うが、どこまで理解してくれたか。生来、彼女は、他人の視線に
ある意味、ミリア母さんと同じくらい開けっぴろげなところがあるかもしれない。
そう思ったが口にせず、荷物をまとめると
竜の穴はすぐ近くにある。テーブル・マウンテンの北の
「問題なのは中に入ることなんだよね」
「中ですか」
「うん」
「傾斜部分に穴が開いていますが、ロープを使えば簡単に入れそうですが」
「いや、入るのは簡単だろうけど、中にどんなやつがいるか」
「竜がいるのではないのですか?」
「基本的にはそうだけど、ここの竜はすぐに
「どうしてでしょうか?」
「大形の
予想を述べると、なるほど、と、うなずく巫女。
「それではどのような竜が住んでいるか分からないのが危険なんですね」
「うん、ヴァンダルが教えてくれた東方の兵法書にもある。敵を知り、己を知れば百戦
「じっくり調べる時間はなさそうです」
太陽を見上げる。正午までには
「だね、
と言うと同時に中に入る。ロープを下ろし、先に下りるが、
僕のあとにルナマリアが「うんしょ、うんしょ」と下りてくるが、彼女が下りると同時に穴の中に入る。
竜の穴は思ったよりも大きい。この大きさならば古竜ですら住処にできるのではないか、そう思った。
僕たちは用心に用心を重ねながら、
「ついていますね」
ルナマリアの言葉であるが、僕は同意しない。魔物がいないということはそれだけこの穴の主が危険なのではないか、という推察も成り立つからだ。
しかし、さらに幸運なことに第三階層にやってきてもなにものにも出くわさない。この穴の主である竜もいないのだ。
「食事に出ているのでしょうか」
「たぶんね」
「それは幸運です。我々の目的は薬草なのですから」
ルナマリアがそう言うと、第三階層に
「あった! あれが
そう言うと素早くそれに近寄り、
聖蘭草は根が浅く、簡単に摘むことができた。
これでミッションコンプリートである。
と
「……なにかがくる!」
僕がそう言った瞬間、
「あれはブルードラゴン!」
ルナマリアが
ブルードラゴンとはスカイドラゴンの別名で、大空を
大きさは千差万別であるが、この個体はそれなりに大きい。先日
同じ大きさということは同じくらい強力ということである。僕はルナマリアの前に立ちはだかると、
僕の判断は正しく
周囲にあった草花があっという間に灰になる。もしも障壁を作っていなければ僕たちもああなっていたことだろう。
「ありがとうございます、ウィル様、命拾いしました」
「その言葉はやつを倒すか、
「そうですね。しかし、先日もレッドドラゴンを
「毎回、
と
僕は
竜のような
ローニンの懐に飛び込むことに比べれば、なにも
そんな気持ちを
紙でも切り裂くかのようにすうっと通る短剣。さすがはミスリル製である。と納得しながら斬撃を加えていくと、竜は
まっすぐに伸びた
すると尻尾は竜の
竜の身体から放たれた尻尾は、ぴくぴくとうねる。まるでトカゲの尻尾のようであった。
ただ、トカゲと
僕はそれを身体全体で受け止めると、
「ブルードラゴンよ! この穴から去れ! この山から消えろ! さすれば命までは取らない!」
僕の言葉が通じたかは分からないが、ドラゴンは僕と戦う
そのまま大空の
「……勝ったのかな?」
ドラゴンの気配が消えると、ぽつりとつぶやくが、勝利を確信させてくれたのはルナマリアの言葉だった。
彼女はその場で飛び
「さすがはウィル様です。赤きドラゴンに次いで青きドラゴンも倒しました。ドラゴンスレイヤーです」
「追い払っただけだよ」
彼女の胸の谷間から真実だけを告げると彼女は首を横に振る。
「
ルナマリアは一刻も早く旅をしたくて
たしかにゆっくりとしていれば約束の正午を過ぎてしまいそうだったので、僕たちは素早く
それは女神ミリアの用意した
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