第弐拾捌話―終焉の鬼人―
ガロンの死んだと
(わたし、何のために戦っていたの。これじゃあ、ガロンさんが)
大事な人の死に、膝をつく。
その絶望に今にも暮れそうな彼女を見るのはエルフのエレナと異世界転生したアレン達であった。
「あの女の子は、どうして悲しんでいるんだい?」
アレン・アルバートはエレナ達が
何か知っているかを尋ねる。
有馬颯牙のバーティであったエレナは内ケ島椛葉の姿を見て
解釈した。
「おそらくだけど、精神をやられていると思うわ。あの男は、異常な力を使っていたわ」
「そうだったのか。ともかく回復するのを期待するしか無さそうだ」
戦いは終わった。
同族で抵抗したイーブルもガロンが倒れた事でおとなしく投降した。エレナ達は、精神支配されたのが最も高いのではと推測をするのであった。真実はガロンのために行動したのだが。
「エレナ・・・君の復讐は果たせた訳だけろ。どうだい?」
エレナの有馬颯牙と唯一の生き残り仲間が眉を八の字にして訊いてきた。
「モヤモヤして釈然としない気持ちね。けど、これで天下を
「それは思い込みでは?」
騎士ガイアの涼しい顔で鋭い指摘に年上であり精神年齢は幼いエレナは自嘲する。
「ええ、そうかもしれない。
けど、だいたいの種族は圧迫感のした思考で納得しているわけじゃないの?」
「そうだね。君の仰る通りだよ」
エレナとガイアがそんなやり取りしている一方で少し離れていた
アレン達は村人に驚異は去ったと
報告するのだが、あまり歓迎されていないと落ち込んでいた。
「まさか、俺の全力での凍結に
子供から恨み言を言われるとは
夢にも思ってもいなかったぜ」
黒人の少年アレン・アルバートはバサラとサラシャの前でいつもよりも明るく振る舞う。
避難された事に傷ついていた。
「アレン。村人はきっと操られていたのよ。だから、あんな言動をしたんだと思うわ。
悪魔でよく似た術を使っていた聞いたことはあるのよ」
励まそうとするサラシャは、思い当たる節を述べていく。
「そうだぜ。だから元気を出そうぜ!良いことはあるだろうし。
前向きに生きろうぜ」
バサラも心配して声を掛ける。
仲間の二人の言葉にアレンは立ち直れる気持ちになる。
「そうだよな。この村の鬼達が怒っているのは何かあったと考えるべきか・・・いや、それにしたて偽りや誘導させていないような」
「アレン?」
「いや、何でもないサラシャ。
気にしないでくれ」
「そう。でも疲れているのよ、きっと。だから少しは休んだら」
「ああ、帰ったらそうさせてもらうよ」
アレンは嫌な予感をよぎった。
この感ははずしたことが、ほとんど無く的中しているのだ。
アレンはガロンの場所に戻りエレナ達を見つけると近づく。
エレナ達もアレンに気づき振り返り戦友に向ける優しい表情をする。
「どうでした。村人の状態は?」
「歓迎するどころか糾弾されたよ。これも操られているからか」
エレナの質問にアレンは肩をすくめてそう答える。先程はその糾弾に落ち込んでいたが、今は違う。
「そうだと思います。
わたし達はこの子を保護して精神支配などを治療したいと考えています」
「それがいいと思う。だけど、もし違っていたら責めないでほしい」
「・・・・・?ええ、分かったわ」
銀髪エルフのエレナは不思議そうに頷いた。内ケ島を
「そろそろ出発しましょう。
ガイア凱旋の準備」
「はっ!」
騎士の敬礼をして、ガイアは自国の騎士に指示をする。エレナは内ケ島椛葉の元へ歩んでしゃがみ込む。虚ろな瞳を内ケ島はエレナに向ける。無気力の眼差し。
「えーと、平気?
歩けるかな?」
「・・・・・」
エレナは内ケ島には、優しく声を掛けるように心がけている。
年齢もエレナの方が上だが、実質的な年齢なら内ケ島が上になる。
ともかくエレナは腰を上げると
優しく手を
「や、やだ!」
「不安だろうけど、安心してわたしがついているから」
「い、いやぁ」
「あなたは操られているのよ」
「そんなこと、ありません!」
抵抗する内ケ島にエレナ少々、強引になるが腕を引き立ち上がらせる。そして用意した場所へ移動しようとする。
「待って銀髪のエルフよ」
「何かしら?」
静止させたのは、イーブルであった。途中からガロンに加勢した事で木の幹に縄で動けなくさせている。村長などの明日頃には解いてとお願いをした。エレナに嫌な顔をしたのでイーブルを放っておく
ような反応ではなかったとエレナは強い確信があった。ともかく、
筋肉隆々イーブルは言う。
「彼女は乱暴に扱わないでほしい。もし、守れないなら俺は――」
「安心して。そんな事なんかしないんだから」
エレナが断言して村を出る。
荷物や人数が多く森林から出て馬車に向かうのに翌日。
数台の馬車が並べられていて森を出たエレナとアレン達は、やっと
出られた事に安堵する。
内ケ島をアレン一行の馬車に
連行される流れとなった。
内ケ島の向かいにはサラシャ。サラシャの横にはアレンだ。
「大丈夫かしら?」
「・・・・・」
「可憐な女の子、貴女は美しいでありますね」
「ハァー、少し真剣になりなさいよ」
アレンとサラシャのケンカではなく談笑に内ケ島は聞いていた。
(あの人が、氷のチート能力を・・・・・どうして、わたし達は
争っていくんだろう?)
内ケ島は
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