第18話 レア装備と古代魔術文明遺産


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 リサイクルスキル

  LV:9

  経験値:34/60

  対象物:☆幸運の腕輪(分解品)


 >幸運の腕輪(普通):98%

 >幸運の腕輪(中品質):78%

 >幸運の腕輪(高品質):58%

 >幸運の腕輪(最高品質):28%

 >幸運の腕輪(伝説品質):18%

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 これもかなりのいい品物のような気がするんだけど……もしかして装備品かな。


 でも、☆一個だしそんな大した品物でもないよな。


 よし、再構成っと。


>幸運の腕輪(普通品質)に再構成に成功しました。


>幸運の腕輪(普通品質)


 装備効果:スキル成功率5%増加

 

 資産価値:三〇万ガルド


 表示された情報に一瞬目を疑った。


 スキル成功率の5%にも驚いたが、資産価値が普通品質で三〇万ガルドもあった。


 これってレア装備品ってやつかもしれない。


「なんかフィナンシェ君の手が震えてるけどどうしたの? その腕輪もしかして結構いいものだった?」


「えっと、幸運の腕輪って品物で普通品質でも三〇万ガルドの資産価値があるみたいです。あと、スキル成功率5%増加も付くみたいで」


「そりゃあ、レア装備や。ダンジョンで見つかる品物の中でたまに見つかるもんやけど……スキル成功率上がるのは特に珍しいやつやな。さすが、フィナンシェ。運の方が自分からよってくるわ」


「ってことはこれを俺が装備すると……」


「リサイクルスキルの成功率が上がるってことやろな。☆一つの普通品質はもう失敗しないってわけや」


 だよね……成功率100%超えるし。


 レアリティを示す☆一つのアイテムがどれくらいあるのか知らないけど、結構な数の物を失敗なく再構成できるようになったってことか。


 俺は手にしていた幸運の腕輪を右腕にはめた。


>幸運の腕輪(普通品質)の装備確認。


>リサイクルスキルの成功率5%向上しました。


「ふむふむ、さすがフィナンシェ君だわ。銀色の腕輪がしっくりと似合ってて、ますますいい男になってきてる」


 ラディナさんに褒められると、身体が一気に火照ってしまう。


 『ゴミ拾い』のフィナンシェと街中の人から馬鹿にされていた俺を運命の人と言って優しくしてくれるラディナさんは、かけがえのない人になりつつある。


 やっぱ美人なラディナさんの隣に立っても恥ずかしくない男になっていかないと……心も見た目も。


「あ、ありがと。ラディナさんに褒められると照れるけど……」


「だって、本当のことだからしょうがないじゃない。素敵よ、フィナンシェ君」


「おぅおぅ、すぐに二人でイチャコラしおってからに! まだ、たくさん仕事が残っとるでぇ!」


 未解体品を持ったラビィさんが、見つめあっていた俺たちの間に割り込んできた。


「んもぅ、ラビィは空気読みなさいよー。あたしとフィナンシェ君の大事な大事な時間なのよ」


「うるさい、今度から狂暴女改め、脳みそ年中ピンク女って呼んだるわいっ!」


 その瞬間、ラディナさんの顔色がサッと変化する。


 周囲の空気までピリピリとしたものに変わった。


「ラビィ……ラビィって片目眼帯だし、バランス的に片耳なくなっても問題ないよね?」


「ひぃっ! ワ、ワイの耳はやらへんでぇ! 絶対にやらせんでぇ!」


 ラディナさんの本気を感じ取ったラビィさんは、仕分けの仕事をしていたセーナの背後に急いで駆け込んで隠れた。


「ラディナさん、落ち着いてください。さぁ、仕事しましょう。仕事」


 ラビィの飛びかかろうとしていたラディナさんを抱き留めると、未鑑定品を彼女に渡した。


「フィナンシェ君はラビィに甘いんだから。でも、そんなフィナンシェ君のことも好きよ」


 機嫌を直したラディナさんが、俺から未鑑定品を受け取ると解体を始めた。


―――――――――――

 リサイクルスキル

  LV:9

  経験値:35/60

  対象物:☆古代の壺(分解品)


 >古代の壺(普通):100%

 >古代の壺(中品質):83%

 >古代の壺(高品質):63%

 >古代の壺(最高品質):33%

 >古代の壺(伝説品質):23%

―――――――――――


 やっぱり、100%となっている。


 中品質の成功率も83%と結構な数字となってきているな……。


 成功率8割だし、一回ダメ元でチャレンジしてみるか。


 よし、再構成! 頼む、成功してくれ!


>古代の壺(中品質)に再構成に成功しました。


>古代の壺(中品質)


 資産価値:一〇〇万ガルド


 成功したようだ……って、中品質で一〇〇万ガルド……か。


 なんだかみすぼらしい壺にしか見えないけど。


 ダンジョンから出土する品物って結構な金額になるなぁ……。


「ラビィさん、ラディナさんダンジョンからの出土品って高いんですね。この壺、中品質で一〇〇万ガルドするみたいです」


「え!? これが? どう見てもフィナンシェ君の家に置いてあった壺と変わらないわよね?」


「お前ら、あほか。ダンジョンの出土品は古代魔法文明の遺産やで。壺一個にしてもそこらの品物とはわけがちゃうわい。フィナンシェ、壺を貸してみい」


 ラビィさんが俺から古代の壺を受け取ると、地面に向かって勢いよく壺を叩きつけた。


 ああっ!? 一〇〇万ガルドの壺がっ! 割れ――


 しかし、壺は割れず何事もなかったように地面を転がっていた。


「割れないっ! ど、どうなっているんですか? あれだけの勢いで地面に叩きつけて壺が割れないなんて……」


「ダンジョンから出土する品物は日用品も含め、すべてのアイテムに『不壊』が付与されていて絶対にどんなことしても壊れないんや。だから、一見普通に見えるもんでも高値取引されとる。なかでも割れない壺は液体の輸送業者にとっては垂涎の一品やからな資産価値も高いはずや」


「な、なるほど……壊れないなら破損して液体が漏れるってこともないですしね。割れない壺の価値が高い理由が分かりました」


「あと、中品質ってことで美術品的な価値も上昇しとるはずや、普通品質だと取引代金は一〇万ガルドが相場やからな」


 俺のリサイクルスキルが表示する資産価値の算定は、色々な条件が加味されての結果ということか。


 それにしても壺一個で一〇〇万ガルドとか……あとの品物見ると総額がトンデモないことにならないかな。


 視線の先にはまだ山と積まれている未鑑定品があった。


「こりゃあ、フィナンシェの力で一財産できるかもしれんな」


「でも、あんまり多すぎるならテリーさんにお返しさせてもらいます」


「まぁ、そこはフィナンシェの好きにせい。フィナンシェの力があれば、なにからでも金が作り出せそうやし」


「はいっ! ありがとうございます、ラビィさん! よし、一気に再構成するぞー!」


 それから、俺たちは山となっていた未鑑定品に挑んでいった。

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