手紙
「手紙」
桜咲く季節に
花びら
舞い散るように
そこにずっと
いてくれると思った
帰れば
車で迎えに来る
そんな
わずらわしいことを
してくれた
「君は僕の息子だ」
遠慮する僕に
あなたはそう言った
改まったような
言葉に
それが今のあなたの
全てを
表しているようだった
「親に遠慮するな」
あなたの言葉を
忘れることはない
怒ると恐かった
子供の頃
あまり言葉を
交わすことが
できなかったのも
心のどこかに
それが残っていたからか
炎にさらされ
変わり果てた姿に
本当に二度と
会うことも
話すことも
できないと知り
涙を飲んだ
甥や姪たちは
元気だよ
あなたのために
祈ってくれたよ
細身の母を
兄妹で
支えていくよ
夢を叶えることが
できなかった
無駄に浪費させ
報いることができず
僕は親不孝者だ
「お前らしく生きていけ」
あなたの優しさを
その笑顔とともに
胸に刻んでいくよ
一緒に焼いた
とんかつを
あちらでとことん
味わってね
ありがとう
2022.4.17
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