第113話 空飛ぶ怪獣・4
No113
空飛ぶ怪獣・4
解体所の所長ディガンさんにグレイドレバファロの解体を頼んだ後に、グレイドレバファロの討伐中に乱入した空飛ぶ怪獣もマダラの影から出した。
「「..........」」
マダラの影から出された空飛ぶ怪獣を見た受付嬢のシンディさんと、ディガンさんが放心状態になってしまった。
あっ....これは明らかにやっちゃった系だな...多分、危険指定されてる魔物か高ランク冒険者パーティーで討伐する感じの魔物なんだろうな....面倒事かな...
とりあえず、シンディさんとディガンさんを元に戻さないと。
俺は、シンディさんとディガンさんの肩を叩いて意識をこちらに向けた。
「....バンバンっ! シンディさんっ!.....バンバンっ! ディガンさん! しっかりして下さいっ!」
「...せっ、セイジロウ...さん?」
「...なっ、なんで...こいつ...が?」
「気がつきましたか? ニ人とも大丈夫ですか? 話は出来ますか?」
長い間放心してたわけではないが、ようやく意識が戻ってきたので話を聞いてみる事にした。
「あの、話をしても良いですか? 話しますよ?」
「あっ、あぁ、大丈夫だ。少し呆けていた。話を聞かせてくれ」
「わっ、わたしも...すいませんでした。話を聞かせてください」
俺は、この空飛ぶ怪獣に接敵したところから話を始めた。話を聞いてるニ人は所々で驚きの表情をするが構わず最後まで話をした。
「まず、よく生きていたな。それと、倒してしまうところがまた何と言うか...」
「そうですね.....しょうがない?」
「あの~、まず確認なんですが倒したのは不味かったのですか? それとも良かったのですか? 私としては、判断にこまるんですが」
襲ってきたから倒したけど、神聖な魔物だったり、絶滅危惧種の魔物だったりして、罰則とかあったりすると嫌なんですけど....
「それは、大丈夫です。この魔物はフェレイバーンって言う名前なんですけど、気性が荒く狂暴で狙った獲物には容赦なく襲うんですよ」
「こいつは飛行型の魔物だから、倒すにしても逃げるにしても命懸けなんだ。また、神出鬼没で突然現れるから、【死神バーン】 なんて呼ばれたりもしてる危険指定されてる魔物だ」
と、シンディさんとディガンさんが説明してくれた。
やっぱり....ちょー危険な魔物じゃん。しかも、そんな魔物を討伐した俺達って....目立つよね?
「こんな魔物から助かった私は運が良かったですよ。では、解体をお願いします。全部、買取ってくれて良いです。報酬は後日取りにきますから。それと、解体料は買取り金額から引いといて下さい。いやー、助かって良かったです。では」
ヤバい、絶対面倒だ...こういう場合は何かしらの面倒が付いてくるパターンだ。アニメやマンガ、ネット小説で読んだから知ってる。さくっと帰ってしばらく身を隠そう。そうしよ。
ガシッ!
「セイジロウさん、ちょっと話があります。ご同行願います。さっ、行きましょう。ディガンさん解体はよろしくお願いしますね」
「あっ、あぁ。じゃあ、セイジロウ頑張れよ」
シンディさん、どこ行くんですか? ディガンさん、ニヤついてないで助けてくださいよ! シンディさん、そんなに引っ張ると服が伸びちゃいますって! マダラも見てないで助けろっ! て、おいっ! 影に入ってどうするんだよー!
▽△△▽▽▽▽△
解体所から強制連行されてきたセイジロウです。はい。現在、冒険者ギルドの執務室、目の前にはギルドマスターのサーシャさんがソファに座って俺を睨んでる最中です。
そのソファの後ろには受付嬢のシンディさんが姿勢良く立ち、目をつむって成り行きを静かに見守っていてくれてます。
ギルドの執務室に連れて来られてすぐに、シンディさんがサーシャさんに事の成り行きを説明して、その話を聞いたサーシャさんは驚きと同時に執務机を叩きながら立ち上がり俺を睨んできた。
サーシャさんは美人なんだけど、その切れ長の目に睨まれると萎縮しちゃうんだよね。同じ睨まれ方をするんならフローラさん、もしくは可愛い系の女性の方が俺は嬉しいな。
いつまで睨まれてればいいんだろう? 俺にも予定があるんだよね....アンリエッタさんのところに行って水着の話や夜営の時に使える小型の鉄板焼きの魔導具とかの開発とかさ....はぁ....
「あの、ギルドマスター? そろそろ何か喋ってもらえると話がしやすいのですが...」
「......セイジロウ、お前は一見すると普通の一般人に見える。さらに、端から見たら冒険者にも見えない。今は、装備をしてるから冒険者に見えるが普段はただの一般人にしか見えん」
なんた?...いきなり批評が始まったぞ。まぁ、ガッツリと冒険者活動してる訳じゃないし、鍛えてる訳じゃないからな外見は普通の一般人に見えるだろうな。
「ありがとうございます?...それが何でしょうか?」
「別に誉めないっ! それに、何でしょうかだとっ! お前はいつもいつも面倒ばかりをシレッとした顔で突然持ってくる! 今回もそうじゃっ! どこの冒険者ギルドのDランクが、危険指定されてる魔物を襲ってきたから倒しちゃいました、テヘッ! なんて言うだ!」
テヘッ!....て、言ったよ今....ちょっとあざとかったよ、ギルドマスター。
「そんな事言われまして、死にたくなかったですし、マダラも居ましたから。それに、俺は一度避難しましたよ。それを、マダラのヤツが余計な事を言ったからでして...」
「うるさいっ! 外見詐欺のセイジロウが! この忙しい時にさらに忙しくしっ!...はぁ....はぁ...もぅイヤ...」
「ギルドマスター、少し落ち着きましょう。すでに、事は起こってしまったのです。ですから、前向きに考えましょう。とりあえず、危険指定されてる魔物が討伐されたのです。これは、ギルドにとって悪い事じゃありません。それに、セイジロウさんはすべての素材をギルドに買取りを指示してます。利益は十分ですよ」
ここで成り行きを見ていたシンディさんが助け船を出してくれた。
「まぁ、それに関しては喜ぶべきね。利益としては十分な働きなのは間違いないわ。でも、この後が面倒なのよ....」
はぁ....やっぱり面倒事か....なんで俺ばっかり...俺はただ平々凡々を望んでるのに。
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