477話 買い物と準備
あれこれ本日のやる事を終わったのでぷらぷらと街に出る。
街に出ると言っても、エルスタンの露店周り、マーケットボードを確認するだけだが。
結局金が作れないので、硝石、黒色火薬は勿論のこと、自作した各種グレネード、過剰分と言うか必要な金属を海中資源から抽出したが、必要のない金属等々、色々とアイテムを流しては売り上げを回収し、マーケットボードに乗せてない安めの素材や装備を回収してやりくりしている。
銃弾1発作るのにちょいちょいと金属素材を使っているので、実はそこそこにコストが掛かっていたりする。グレネードも鉄片入れたり、スモークで噴出孔が崩れないように強度調整、フラッシュも破裂しやすいように薄くしたりと、地味に手が込んでいる。なので結果的に硝石や黒色火薬もそうだが、それ以上に金属系素材が常に不足しがちだったりする。
なのでちょっとだけコツと言うかこういうゲームでよくある物なのだが、安く投げ売りされている金属製装備、アイテムを手に入れてさくっとばらして直接素材を買うよりも安上がりになったりする。金があればこういう細かい財テクを使う必要はないってのに、貧乏は大変だよ。
「もうちょっと犬野郎から絞り上げておけば良かった」
懐寂しい自分の所持金を眺めてから大きくため息一つ。
せめてゲーム内くらいは贅沢してみたいもんだけど……どのゲームやっても常にカツカツでやってきたからあまり気にするほどの物でも無かった。って言ってもぱっと使えないのはやっぱり大変なので、それなりな額は欲しいわ。
「プレイヤーも増えたし、私もそろそろ動かないと間に合わないかもしれんなあ」
煙草を咥えて揺らしつつ、人通りが多く連絡網代わりの露店を設置してから、露店巡りを始める。
そういえばこの露店周りも何だかんだで自治が凄いよな。
区画整備と言うか、あやふやで無法地帯だった露店ルールを変えてから、大体同じようなカテゴリーの露店をまとめて、プレイヤー同士でしっかりとルール決めをされているのよね。個人的にカテゴリー分けを自主的に行ったのは良い事、かたっぱしから露店を開いて目当ての物を探すってのも情緒があってよかったんだけど、時間が掛かるのがいただけない。カテゴリー分けってのも、自主的にだから欲しいのが全然違う所にあったりするのでその辺はご愛敬。
「ま、狙い目はそこそこあるんだけど」
紫煙を揺らしながらいつも行っている露店があるので、そこで購入してばらして銃弾やグレネードに変換し、さらに売っているのは秘密だったりする。材料を安く仕入れているだけであって転売ではないからセーフだよな。そういう訳で、サクッと購入してインベントリに放り込んで買い物終了。後は、ちらちら露店を見ながら帰るだけよ。
「それにしても、あれこれとアイテムが増えてるもんだ」
消耗品周りってあんまり興味がないから見た事が無かったけど、ポーション類があるのは勿論のことだけど、各種耐性が掛けられるのだったり、攻撃力防御力アップのバフ系。最近の付き合いから言ったら色々な茶葉もあったりする。
そういえば満腹度が無くなったおかげもあって料理系アイテムも地味に高騰してるんだったかな。金持ち専用のバフアイテムみたいな扱いになっているけど、1個だけしか効果が発揮しないが長時間バフを掛けられるメリットの方がでかいらしい。
「と、言ってもあんまり縁のない話だけど」
いつもの用事を済ませたし、連絡待ちをしている間にインフォメーションの確認。
確かに来週にクラン対抗のトーナメントが開催される。これに関してはいつもの対人イベント。その代わりに結構レギュレーションがあるみたいで、その辺の細かい仕様があれこれと。毎回こういうイベントの時に気にするけどPvEのゲームでPvPやるとバランス調整が難しい、そのまま対人に持ち込むからやけにガンナーが強かったり、属性耐性が上げにくいから魔法使いが強かったり、騎士系の防御力が抜けなさすぎたりと、結構滅茶苦茶なバランス。そういうのを含めてのレギュレーションなんだろうけど。
勿論のこと、私が出る予定なのは所謂「無差別級」。
人数制限も無いし、レベル制限、装備、職、アイテムの持ち込み、等々ぜーんぶ、気にしないで好きにやりましょうって無差別級って言うか無法地帯。で、まあ、そんな無法地帯に殆どのクランが参加予定らしい。どんだけ対人やりたいんだよ。
まー、分かりやすい順位の優劣をつけるには他人と比べるってのが一番だからしゃーないよね。
ランク、レート、レベル……は、馬鹿でもやってりゃ上がるから違うな。どっちにしろ上を決めるには他人と殴り合いが手っ取り早いわな。
「って事は、私も色々手を尽くさないといけない訳なんだよねえ」
一回決めた事だけど、別に今やめてもいいんだけどね。
ただ今まであった中途半端な成績を考えたら、この辺で一気に上に行くのも良い。
「マイカの奴に散々バトルジャンキーって言ってたけど、私は私で壊れてるなあ」
もうちょっとしおらしく生きていければよかったのにな。
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