327話 未知の相手
完全に舐めてたわ。
前線が強いから大丈夫だと思っていたら普通に抜けられるので、必死こいてトカゲと一緒に銃撃し、足を止めさせて追撃からの連射でどうにかこうにか倒す事になる。
これ、すっかり忘れていたけど、ベースは強化モンスターで数が多いからHPを通常より減らしているだけで攻撃や防御は通常のよりも強めに設定されているんだったよ。
何でこんな事を言っているかと言うと、攻撃の引き戻しの最中にポンコツがもろに攻撃を貰って死に戻りしたってのがある。
あいつもなんだかんだでゴリマッチョの弟子でもある金髪エルフの防具だし、なんだったら私がわざわざ口を出してあれこれ調整掛けた中々にお高い装備を付けていたはずなのだが、それでもワンパン食らって瀕死、髭親父と紫髪が受け損ねた攻撃の余波であっさりと沈んだ。
犬耳はポンコツに回復掛ける前に崩壊しかけた前線の立て直しで必死こいているのでポンコツにかまけている暇すらなかった。
「エリア4の敵強すぎじゃね?」
またすり抜けてきた装備を持った2足歩行のモンスターが斬りかかるのでガンシールドで受け、トカゲに指示。咄嗟に引き抜いたショートバレル鳳仙花で受けていた奴に銃撃をかますがそれでも倒せず、無理やりガンシールドを押し込んで押し倒し、上からCHを押し付けて射撃。が、撃破ならず。
「バイパー!」
「分かってるよ!」
じゃこんと水平2連の排莢から銃弾を2発同時に持ち装填、私がマウントを取っている状態で暴れているモンスターの頭部を吹っ飛ばす。そのままポリゴン状になって消失していく最中にCHの装填を行い、大筒の準備も。
エリア3の相手していた時よりも全員でばたつきながら迎撃、エルスタンで開始だからと言って油断していた他のプレイヤーも結構死に戻りしている。いや、マジで犬耳借りておいて良かった。
「二人がかりでやってこれって、先長……」
「ボス油断するな!」
どんっとトカゲに押されると、立っていたポイントに魔法が飛んできて炸裂する。代わりに押された時に口から離れた葉巻が宙を舞い、一瞬で焼き尽くされる。ああ、折角半分も残ってたってのに、もったいねえ。
「どっからきた?」
「上だよ、小型のドラゴンだ、あれは十兵衛やバイオレットでも太刀打ちできねえぞ」
「弾幕張って翼もいだら行けるとは思う、けどなあ」
とりあえず髭親父や紫髪の所に向かわせないように上空にいる小型ドラゴンに発砲して引きつけはするが、あまり上に気を取られると、前線から抜けてきたのに攻撃を貰う。
「仕方ない、範囲で吹っ飛ばすから援護頼む」
「了解」
グリップを付けたランペイジで上空に対して制圧射撃をしている間に、大筒を上に向けて、火薬と細かい鉄片を装填してすぐに着火……のタイミングで火球が飛んでくるので回避、すると大筒に直撃。流石に鉄製なので溶けるって事は無いのだが、狙っていない状態かつ下級の勢いで上空の小型ドラゴンに対して狙いが外れた鉄片が撃ちあがる。
「遠距離メインの空中ユニット、対空が無いと対処できないって色んなジャンルで嫌われる奴」
「まだ1体だからいいけど、向こうは2~3体いるうえに、対処にてこずってる」
「余計なプライドを捨てて他のプレイヤーと協力した方がいいかもしれんな、これ」
流石に一撃が重いのもあって一発受けるたびに呻き声を漏らすし、楽しそうに刃物を投げまわっていたのもやめてしっかりとした立ち回りで攻撃を捌いて反撃している。
早めに倒さないと複数対一で戦わないと行けなくなるので、前線は前線で必死だし、後衛は後衛で必死。何だったら一番過労死するんじゃないかってくらい働いているのは中衛にいる犬耳だ。
「次の奴用意するから、続けて援護」
「人使いの荒いボスだ事!」
マガジンを入れ替え、また上空に飛んでいるドラゴンにバリバリと撃ち込むトカゲの横、大筒を3本配置してそれぞれ装填。火球を放たれて1本ダメになったが、2本残存。あの火球が連射されずに、大きめのを一発吐き出してくるタイプでマジで良かった。
「落ちろ、羽虫が」
左右からのクロスファイアで上空にいたドラゴンに鉄片が突き刺さり、翼に穴ぼこを作り落とすのに成功する。
「ほら、偏差で撃て撃て!」
「分かってるよ!」
落下中のドラゴンにも容赦なく、トカゲのランペイジ、私のG4で撃ちまくり、地上に落ちる前にポリゴン状に消失させる。大筒2本使って倒せないとなるとエリア4の相手には結構な火薬量使わないといけないって、赤字が過ぎる。
『少し下がって他のプレイヤーと近い所まで行こう、このままじゃすり潰される』
『それは、賛成だな』
『右に同じく』
『マイカとももえは』
『死に戻りしたももえちゃんの回収したけど、そっちまではちょっと行けないかなぁ……乱戦で余波が激しくて仕留めながらになってるしぃ』
『めんぼくねえー』
「どっちに下がる?」
『エリア1-2と1-3の境辺りまで前線を下げよう、死に戻りした時の距離も少し短くしておきたい』
火炎瓶を使い、髭と紫の更に奥に投擲で投げて炎上、2人が戦っているモンスターに対してもトカゲと私が後ろから援護射撃をする事で撃破し、下がれと合図をする。
と言うか、予想以上にエリア4の敵が強い。飛行型もそうだけど単体の性能が高いから殺意マシマシ。これが大量に出てくるってんだから更に質が悪い。
『火炎瓶の炎を突破してくるね』
『だったらさっさと下がる!』
耐性持ちがいたか。ええい、バリエーション豊かで嬉しい限りだよ、全く。
『ここに来て属性攻撃出来ないのと、タンクがいないってのが露呈してくるとは』
『あんたは援護射撃!十兵衛とバイオレットはガヘリス回収しながらこっち戻る!』
こういう時こそ冷静に対処するべきだ、耐性持ち、飛行持ちがいるからたらたら下がっていると余計なダメージを貰うからてきぱき動け、てきぱきと。そうしてみんなで下がるように走りつつ、後ろに向けてG4を連射して牽制射撃も忘れない。
『あ、いたぁ』
『合流するまでが厳しすぎる!』
エリア1-2、1-3の境目辺りまでどうにかこうにか逃げていると、やっとのことでジャンキーと死に戻りしたポンコツと合流。余裕とか言ってた割に、ジャンキーも結構ボロボロになっているので激戦だったというのは想像しやすい。
『団体戦の弱さが露呈しているな』
『しょうがないでしょ、基本的に共闘できない連中しかいないんだから』
『協調性はないねぇ』
そんなのとっくの昔に分かってる。下手にあれこれ言うと良さを殺しかねないから、言う事聞くだろうなーってラインを攻めているからな。
『前衛はさっきと一緒、マイカもそっちに回れ。ガンナー組は後ろでバックアップは変わらず、ももえとガヘリスは中衛』
『対空はどうする?手段あるのは俺とボスとももえだが』
『私が全部やる、バイパーとももえじゃ命中に不安があるし、ばら撒きの精度が悪い』
『ならアカメだけ後衛でバイパーとももえは中衛でもいいんじゃないか』
『おねーさんのとこに抜けられたら終わりだからカバーいるっしょ、3・2・2で最初ので良いと思う』
じゃあ、それでと方針を決めた所で、上空からの火球が降り注がれる。
あの小型ドラゴン、良い所にカットインしてくるのな。
「こっちの準備が出来てないってのに、まったく!」
全員が飛び退き、言った通りの陣形になりながら、トカゲが対空での牽制をしている間に大筒をまた展開し始める。
「どうも泥臭いのよねえ、私のクランって」
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