220話 有名になったからこそ
クランハウスに射撃場と銃工房を設立したうえで、地下2Fまで掘り起こす。しめて450万Z也。
それにしても一発で殆ど吹っ飛んでいくとは……ちなみに内訳は300万、25万、50万、75万。
地下への増設がクランレベル3だったので、そこでさらに60万Z消費した。1レベル上げるごとに10万Zずつ増えていったのだが、いきなり法外的に値段が上がる訳じゃないのは僥倖。
増設した地下に射撃場、2Fはリビング扱いだったが、銃工房を無理やり入れたので3分の1くらいは鉄臭くなった。ま、しょうがないよね、欲しいって言われてたし。
勿論射撃場の仕様で専用弾の∞使用が可能だったりする。既にトカゲの奴がガトリングの試射場としてずっと入り浸っている。ああ、1つだけ文句を付けられたのだが、射撃場の近くに銃工房を作れと言っていたな。
流石に作る場所までは指定されていなかったので、後々文句を言われる筋合いはないだろうよ。流石に腹立ったので「じゃあてめえが金出して作れ」って啖呵を切った。
なんでもかんでも自分でやらずに人に任せるからこういう事になるんだぞ。
後はサイオンに任せておいた、猫耳への樽買取を処理、1樽1万計算で20樽分購入、これは地下2Fに全部配置して、サイオン姉妹の1人に管理を任せておくかな。先に髭親父の奴に仕込みをさせてから、姉妹に仕事を覚えさせるって感じになる……と、思う。
とりあえずクラン周りとマイハウス周りの強化はこんな所。
銃工房の施設はギルドレベル5くらいの時に解禁だったわ。
「私に取っちゃ500万Zってはした金だよなあ」
まだ2週間で個人で使った金額だけで言えばかなり使いこんでると思う。
色々と作りこんだうえでクランハウスの入口、でかでかと掲げたうちのクランネームが入った看板を葉巻を咥えたまま見上げる。
「これだけ見たら金掛かってるってわからんなぁ……そのうち総天然色の図鑑でも出すか」
建物半分割って透明図解を挟んだ奴ってちょっと面白そうだ。
まあ製本できるか分からないんだけどさ。
よくよく思えば此処までかなりの速足で駆け抜けてきたが、やる事が無くなるとレベリングくらいしかないってのが、MMOの問題よな。
あー、でも、そろそろ銃のアタッチメント開発に本腰入れないといけないな。ついでに、いい加減にウサ銃の劣化を直してやりたいし、何時までも針金撒いたままの銃身って見た目もよろしくないわ。
「あの、すいません」
「何?」
「此処のクランショップに入るんですか?」
「あー、まあ、そうね」
「ここって本物のヴェンガン“ザ”カンパニーじゃないですよ」
「……どういう事?」
ちょっと思考が停止した。
どういうことだ、うちがヴェンガン“ズ”カンパニーだぞ?
「実はここって本家を真似した類似クランって話なんですよ……本物の方は東エリアにお店を構えていますので、其方に行ったどうですか?」
「あー、なるほど……そうか、ありがとう」
内心腸煮えくり返るかと思ったけど、案外冷静だわ、私。
人口が増えれば増える程、名前、アバター、ビルドの被りってのは出てくるのだが、まさかクラン名すらか。
いや、まあ、名前が被ってくるのは良いんだけど、自分の方が本物だって言ってくるのは単純に驚いた。
有名税って事なんだろうけど、それにしてもこっちを偽物と言ってくるとは……。
「一応敵情視察をしておくか……あんまし害があるようならいつもの報告BANコースで運営に連絡するだけだし」
とは言え、この格好じゃこっちが本物ってばれるから、またゴリマッチョの所で見た目装備を用意するか?いや、こういう時の武具スキンだな。
とりあえず言われた事は言われたが、このまま真っすぐ自分のクランハウスに入り、サイオンのお出迎え。ショップ内はそこそこまばらに人がいて、商品を見て購入しているのを横目にシオンから20万程クラン金を引き出してすぐさまゴリマッチョの所に。
「サングラスか顔の隠せるアクセ寄越せ」
「この間の眼帯じゃダメなのぉ?」
「赤色の四白眼は目立つからしょうがないじゃない片目しか隠れないし」
「機能は?ステータスありきなら結構高くつくわよ」
「見た目重視だから、そっちは良いわ……とにかく変装出来る様にしてくれれば良し」
じゃあ、と言ってあっさり持ってきてくれる丸サングラス1つ。モデルと言うか、物的には飛べない豚のが愛用しているサングラスみたいだ。これでもしもグラスの色が黄だとまたそれはそれで違うキャラの奴になるったわ。
それにしてもどんどんマフィアだなあ、これ。
「目の色見えないでしょ?」
「見えないけど、厳ついわねぇ……もうちょっと可愛いのがいいんじゃないのぉ」
「可愛さってのはいいのよ」
サングラスを掛けた上で、武具スキンの一覧を開く。買ってて良かったスキンセット。一覧をスクロールしながらどれにするか決めていくのだが、丸サングラスってのがまあ引っかかるよね。
とりあえずリアルのカジュアルな感じになるのでそれを選択。ダサTシャツにジーパンに丸サングラス。
「アカメちゃんセンスが怪しいわねぇ」
「えー、よくない?この宇宙猫T、可愛いと思うんだけど」
「あたしも、色んな服を着るし好きだから見るけど、初めてねぇ……こんなのは」
「逆にこんなの着てる方が逆に目立って、普段の恰好になったら目立たないと思うだよねぇ」
サングラス代を渡し、裁縫クランを出て一息。
こう言った見た目装備って何となく揃えておきたいんだよね。
さて、やってきたヴェンガン“ザ”カンパニー。
クランハウス的には2番目のサイズか……何とも中途半端。とりあえず中に入って品揃えを確認しつつ内情調査だが、ガンナー関係の商品が結構並んでいるな。
流石に爆弾や火薬は並んでいないが、銃弾はあるな。1発3,000Zでガンナーギルドよりもちょっとお高め。ぼったくってんじゃねえか。
「お客さん、何かお探しで?」
「ガンナーはここに来たら装備が揃うって聞いてね」
「どういう武器使ってるんですか」
「あー、えーっと、これ」
初期装備候補の1つのDボアを引き抜いて見せる。
此処でうっかりセンターヘッドや鳳仙花出したらヤバかった気がする。あんなの持っているの私くらいだろうし。
「リボルバータイプは改造も出来ないですから大変ですよねー」
「そうねぇ、銃弾もあるみたいだけど、どうしてるのこれ」
「全部うちのクランで作った物ですよ」
「ほー……硝石ブームはまだあるけど、自力で作るんだ」
なるほど、どうにかこうにか硝石丘でも作れたって所か。
「あ、そうそう、何か偽物があるとか聞いたんだけど、あっちの方が銃弾安く売ってたわよ」
「ああ“ズ”のほうですか……いつからか、うちのクランを真似していたらしいですね、容姿も合わせてうちのクランマスターに似せているとかで、本当に悪質ですよ」
「へえ……その偽物の方は、よっぽど此処の事が好きなんだろうな」
「有名税って奴ですよ、きっと」
アタッチメントは……ないな、銃もあると言えばあるが、カスタムされたパイプ関係だし、ガンナーギルドまでは探し当てていないって事か?
それとも身内にだけ教えているパターンなのか、どっちにしろだな。今の所はまだうちのクランに害がそこまで出ていないから良いけど、こいつ等が本気で妨害してきたら目にもの見せてやるからな。
「ちなみにクランマスターの名前って?」
「ああ『アオメ』さんですよ」
こいつぁー、ギルティ。ゲロ以下の匂いがプンプンするわ。
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