187話 大きい事は良い事
それにしても葉巻をこんなに咥えて吹かしているが、別にやめてもいいんだよな。
とにかく印象は付いたし、そろそろ禁煙するか。
「火をつけっぱなしに出来るって点が一番強かったからなあ、毎回火付けるだけで結構MP消費するし」
MREをもしゃもしゃと食べて満腹度を回復しつつ……なのだが、この要素もゲームテンポを崩すって理由で削除予定。代わりに食事によるバフ効果を付けるってさ。
ほぼ嗜好品としての存在しかなかった料理に意味を付けるって事だから、今後バフ効果によっては料理、農業辺りはかなり儲かりそうだ。ついでに道具を作る鍛冶や食器を作る木工とかも良くなったりして。錬金はどうだろ、調味料の配合でもして売るってのも面白そうだが、別にスキル無くても出来そうだ。
「さーて、いつも通りの北エリア1-1に来たわけだけど、手頃な奴はっと……」
樽だったり射撃場に行ってぶっ放すってのもいいんだが、やっぱりモンスター相手に使って使用感をしっかり把握するってのが大事なのよね。さて、さっき手に入れた、転職祝いの銃を試し撃ちしようじゃないの。
そう、スキルと合わせてのプレゼントみたいな形なんだけど、多分これも二次職からの転職予定の余波だな。二次職に折角なったのに肝心の銃器が無いから武器は別売しろって単純に不親切だしなぁ。あと、今気が付いたけど銃弾50発貰ってた。
「なんだ、結構優しいじゃないの」
今までがあまりにも苦行だったのもあるせいか、これくらいの物でもすごい嬉しく感じるのは完全に運営の手のひらで転がされてる感じがあるわ。
とにかく、二次転職お祝いセットの銃をインベントリから取り出して早速装備……出来ないんだな、これが。
まさかの要求ステータス不足で装備が出来ず、持って調べるくらいしか今の所見る方法がない。
どういう条件で二次職の一覧に出てきたかが分からないが、転職時のステータスはあまり関係が無いと言う事なんだろう。
まあ、もうなってしまったからあんまし意味ないんだろうけど、一覧に出るのはマスクデータの累積か達成値か。この辺はあのピンク髪が加入したら検証で色々連れまわしてやろう。
それにしても問題は新銃よ。
要求ステータスが噛み合っていないので装備が出来ないのだが、大型銃ルートに進むにあたってSTRを上げていかないと行けない流れにはなってしまったわけだが、実はそこまで悲観的にはなっていない。
新しい目標が出来たという点では良いし、装備出来ない装備品を使える時まで取っておくってのもゲームらしいわ。
勿論、手に入れた装備品を片っ端から制限なしに装備出来るのも良い事は良いんだが、ステータスを自分で上げて、どういうビルドを組むかって楽しみがあるゲームにそれを入れると途端に面白くない。
ステータス自体が形骸化するし、レベルを上げる必要性や楽しみも無くなるうえに、レベルと要求ステータス部分が無いと装備の強さに歯止めが利かなくなる。
と、話が逸れたな。
「モデルと性能含めてかなり良いのは確かだし、持って何かやるのは制限無しってのは良いけど、やっぱちゃんと見てから行動すりゃよかったわ」
ふいーっと大きめのため息を吐き出してから自宅に一度帰還……する前に、射撃場に向かう。
もしかしてと思って、この射撃場が試射できるというのを思い出したので装備出来ない銃器でも使えるかどうかを試しに来たが。
「ビンゴ」
トレーニングモードみたいなもんだからいけるかなーって思ったが、しっかり装備できるでやんの。
多分このエリア内だけの特別措置みたいなもんだろ。
まあ、どういう仕様かどうかなんて今の私に取っちゃ意味が無いし、撃てる撃てないって点の方が大事なんだわ。
さて、と。
せっかく貰った銃なんだし、しっかり堪能しようや。
「さーて、大型銃はどんなもんかしら」
名称:センターヘッド 武器種:大型拳銃
必要ステータス:STR15 DEX15
攻撃力:+35 命中:-25 命中時固定ダメ:175
効果:シングルアクション 装弾数1発 金属薬莢 中折れ式 AGI-3
付属品:無し
詳細:強力な一撃が売りの大型拳銃、連射不可、反動が強烈に強い
「デリンジャーのでかい奴って感じねえ……っと」
まじまじとモデルを見ながらじっくりと堪能。長方形の大きい黒い銃身に銀装飾、持ち手や撃鉄部分は普通の拳銃だな、銃身以外の所のカラーは黒ベースで差し色は銀と赤ってとこかな。
厳つい割にはおしゃれなデザインしてるわ。
そんな事を思いつつ「ガコン」といつもよりも重い音をさせると共に中心部を折り、銃身に銃弾を入れ、また大きく音をさせてから銃身を元に戻す。
何て言うか浪漫を固め集めました、頭悪いけどすごいでしょ!ねえ、好きだろ!好き!っていう開発者の浪漫と信念でぶん殴られているって感じはある。
それと合わせて大型とついているだけあってサイズもかなりでかい。
そのサイズからして重量も結構あるからAGIも下がるのだが、其れ以上に魅力的なダメージ量よ。ヘッドショットのスキルを使えば200近い固定ダメージが叩き出せそうだ。
「まあ、でかくて強力ってだけで浪漫の塊だわ」
射撃場の的に向かって両手でしっかりと掴み、撃鉄を起こしてから息を吐き切ると共に引き金を絞る。
いつもよりも派手に大きい銃声、合わせて大きく跳ね上がる銃身に、撃った後に強制的に中折状態になって薬莢が排出される、ある意味ではのオートメーション。
これで薬莢出すときにぶしゅーっと排気音が出るって事は無かったが一発撃った時の反動がえげつない。
ついでに言えば弾が当たった的は粉砕されているので相当なパワーがあるのは確かだ。
「手ぇ、いったぁ!」
片手で折れたままの銃を持ちつつ引き金を引いた方の手をぷらぷらと振る。リアルで痛いって訳ではないが、鉄パイプ抑え込みながら火薬を使った時を思い出すくらいには強烈だわ。
「これは確かにSTRってか、筋力が必須になるわ」
折れたままの銃身に無料銃弾を詰め直してもう一発、新しくなった的に向かって発砲。
大きい派手な音、どちらかと言うと大型犬が吠えるような感覚だな。で、新しい的を粉砕しつつ、私の手には振動が残り、そして自動的に銃身が折れて薬莢が排出される。
やはり大きさと威力とギミックは浪漫の塊だわ。
2発撃っただけで凄い満足する出来なのだが、もうしばらく射撃場で試し撃ちをし、装備したままで外に出るのだが、よくあるバグ技でもある一時的に装備した物をそのまま引き継ぎする……と言う事は出来ない。
なんだったら『装備解除されました、装備を見直してください』ってシステム音声が流れてくる注意事項が流れてきたので、この辺は見越していたと言う事か。
って言うかこうやって試し撃ちするんだったらついでにクエスト片付けてからもっかいこっちに来れば良かったわ。それにしても無駄な労力使ったわー、でもまあ、行き当たりばったりでゲームするのもいいよね。
そもそも行き当たりばったりでしかゲームやってないわ。
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