第26話 バレンタインデーまでの道のり ― 女の子 ―


「ついにやって来たわよ、バレンタインデー!!」


「一週間後にね」


「正直に言って良い?」


「駄目」


「言う。手作りが失敗する予感しかしない」


「買いなさいよ、市販品」


「このお馬鹿がぁァァァ!?」


「必殺カウンター目潰し」


「目が、目がァァ!」


「買いなさいよ、市販品」


「あ、戻る感じ? でもさ、せっかく付き合って初めてのバレンタインデーなんだから手作りのが良いじゃん?」


「最後のバレンタインデーになる可能性も考慮して美味しい記憶で終わっておきなさいよ」


「なりませんんんんッッ! 来年も再来年も続いてますぅぅ!」


「はは」


「やめてよ、その乾いた笑いはリアルだから」


「学生時分の恋愛なんてそんなもんよ」


「あんたいったい何歳の自分を形成しているのよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る