その日の夕飯時、何時もより早く帰ってきた夫に変なことを言われた。






「お、奈緒美、鼻歌何て、珍しいじゃないか!!何か良いことあったのか?」






「え!?私、鼻歌何てしてた?気付かなかったな。」






嘘だった、何時もモヤモヤと悩んでいた事を忘れて、頭の中はあのあどけない顔でいっぱいだった。






あの笑顔を思いだしては笑い、あの失礼な言動を思いだしは膨れる、昔の事を考える暇を奪ってくれていた。






でも、夫を目の前にすると、またモヤモヤした気持ちに戻った。






朝目を覚まし朝御飯を作る頃には、あの笑顔を思い出せないでいた、このままじゃあ出会ったことも消えてしまう……そう、思えた。






だから、私は、夕方スーパーに向かう、あの笑顔に会うために。








「今晩は、来てくれたんですね。」






「うふふ、違うでしょ!いらっしゃいませじゃないの、ここは?」






「そうですか?知り合いだしいいかなって…」






「そうゆうもの?」






「ええ、今の時代は、こんな感じです。」






「何か、ムカつくわね。」






「あははは、また、ムカつかれましたね。」






「そう、ムカつかれてるのよ…言いづらいわね、ムカつかれって。」








「あははは。」






「うふふ。」

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