第16話 武器を買おう

まあそれはいいとしまして、私がトレントを倒しますと素材が残らないですね…これではお金が稼げません。これは早急に彼女の武器が必要かもしれないですね。

ここで私達は狩りをいったんやめ一度町へと戻ることにしました。回収した素材…といいましてもスライムとキノコの魔物の2種類の物しかありませんが、これでもきっとないよりはいいでしょう。これを売れば多少なりにお金になるでしょうし、少しでもましな武器が手に入ると思います。まあ木の棒きれよりは刃のついたものならなんでもましなんですけどね?


門をくぐり冒険者ギルドへ向かった私達はそのままカウンターへと行きました。念のために回収した素材などで依頼が達成しているものがないかの確認をしてもらうためです。


「えーとアルク君とマイルちゃんだったかな? 何か聞きたいことでもありますか?」

「少し狩りをしてきたのでアイテムを見てもらうかと思って」

「あーそうね依頼の品とかあればそのまま売ってしまうよりはいいものね。アルク君しっかりしてるわねっ」


余計な会話はいいのでさっさと仕事をして欲しいものですね。若干イラっとしながらカウンターに回収した素材をのせます。大きな魔物はいないのでこのカウンターでも余裕でのりますね。大きな魔物の素材などは一体どうすればいいんでしょうね。まあその時になったら聞けばいいことですかね。とりあえずさっさとお金を貰って武器を用意しないといけません。


「ん~…スライムゼリーと、ああ新しく確認された魔物の素材ねこれは。そうね…この乾燥キノコとスライムゼリーは5個ごとに依頼対象として引き取れます。ところで魔石はないのですか?」

「魔石は売らないんです」

「…そうなの?」


魔石は色々と使い道がありますからギルドにあげるわけがないでしょう。少しだけ残念そうな顔をしてこちらを見ていますが…そんな顔をしていてもあげませんよ?


冒険者ギルドで素材を売った私達は武器屋の場所を教えてもらい早速向かうことにしました。武器屋はここから少し南に行った場所にあり割と近くにあったみたいです。知りませんでした。

なんといいますか…流石武器屋ってところですかね。扉の前からすでに熱気を感じます。もしかすると鍛冶屋も併設しているからなのかもしれませんね。建物の奥のほうから金属を叩きつける音が聞こえていますから。


扉を開けてから失敗したことに気が付きました…今回彼女に何もお願いをしていなかったのです。好き勝手にされますととんでもない被害を広げてしまうかもしれないのです。


「これは何だ…?」


入ってすぐの樽の中に乱雑に入っていた武器に彼女が興味を示しました。そこですぐ止めるべきでした。彼女はその中の1つを手に取り引き抜きました。乱雑にしまわれていたにもかかわらず妙に綺麗な武器です。刃こぼれもなく、しっかりと手入れをされている片手剣です。


「おいおいおい…っ そこの嬢ちゃん抜いちまったのかその剣!」


店の奥から出てきたたぶん店主が彼女が手に持っている武器に注目しております。言葉から察するに普通に引き抜ける武器ではないみたいです。これはいきなりやらかしてしまったかもしれません。


「すげぇな…長年この店にいるが誰もその武器を手にできなかったんだよな。どんな条件だったのか知らないがもうその武器は嬢ちゃんのものだ…だが、お代はちゃんといただくぜ? なにせその武器がそこに刺さってるもんだから店の配置が変えられなかったんだからなっ」

「中々綺麗な剣なのじゃっ」

「いくらでしょうか?」

「そうだな…こんくらいでどうだ?」


店主が指を5本立てます。つまり貨幣が5枚…金貨でしょうか? まさかもっとたかいのでしょうか…金貨だとしても高すぎて買えません。先ほどいただいた報酬は金貨1枚と銀貨8枚と銅貨6枚…全然足りません。銀貨数枚で買えるくらいの武器を買うつもりだったのですから高額だと困ります。


「金貨…ですか?」

「いや、銀貨5枚だ」

「え…? 結構安いんですね」

「ああ、邪魔だったくらいだからな」


思ったよりも安くて私はほっと胸をなでおろしました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る