逃げたのは私の方か、自分と向き合わず力で捻じ伏せたあなたの方か。

奈緒

第1話 はじめまして。

奈緒。22歳。バツイチ。1歳の男の子のシングルマザー。

元旦那とは少し前に離婚したばかりだった。

養育費ももらっていないし、もう会うつもりもない。


なんで離婚したのか?

若かったのもあるかも知れない。でも息子の出産祝いを勝手にパチンコに使って、私の知らないところで自己破産していた当時の旦那を許すことが出来なかった。

若くしてシングルマザーになった私は地元で有名なカフェのチェーン店で働いていた。



春のある日、店長から他店にヘルプに行くように頼まれた。もともと新しい事をするのが好きな私は快く引き受けた。

そこで出会ったのがたくちゃん。私より3つ下の男の子だった。

たくちゃんは仕事の手際もよく、わからないことも丁寧に教えてくれて好印象だった。

またヘルプに来て欲しいと頼まれ、連絡先を交換した。

それから毎日たくちゃんと連絡を取るようになった。



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