見えない先

「なにを熱心に書いてるんだ?」

「幹典にいただいた本で、人物を描く練習をしています」

「なんでまた急にそんなことを?」

「幹典のように絵が描けたら楽しいだろうなぁと思いまして」

「あー。あそこまで描けたら、絶対に楽しいだろうな」

「幹典にそう言ったら、そんなこと言ったら楽しくない期間の方が長くなっちゃうよって、笑いながら言われました」

「今の幹典レベルになるには、それこそ今まで歩んだ人生分くらいの時間がかかるだろ」

「上手くいって30代後半くらいですか。先は長いですね」

「その頃には、幹典もまた別のステージにいそうだな」

「……今の内にサインをいただいておきましょうか」

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