布教

「えぇ待って……?ヤバ……」

「たしかにヤバいですね」

「えっ」

「ようやく読み終わったんですね、お疲れ様です」

「あ、あぁ……。まさか、俺が読み終わるのを待ってたのか?」

「そうですね、蜜柑を食べる『ついでに』待ってましたよ」

「そ、そうか」

「それにしてもヤバいですね、怒涛の伏線回収じゃないですか」

「あれ?如月も読んでたのか?」

「いえ、それを読んだことはないです。本を読んでいる北斗さんの思考を読んで、その物語の伏線回収がヤバいことだけは理解しました」

「今すぐ俺の思考を読むのをやめて、本編を是非読んでくれないか!?この展開、オチを知ってから読み始めるのはあまりにももったいない」

「いいですけど、学校図書にあります?」

「ない。俺が持っている分を明日持ってくる。ちょっと長いかもしれないが、それでも後悔はさせないと誓おう」

「貸してくれるんですか?」

「もちろん。それで如月が読んでくれるのなら」

「……時間はかかるかもしれませんが、頑張って読ませていただきますね」

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