ゲームセンターでの失態

「帰りますよ、北斗さん」

「嫌だ。あと少し、あと少しで取れそうなんだ」

「それを言い始めてからもう何回目ですか?そろそろやめないと、今月は金欠どころじゃありませんよ」

「金欠になってもいい。俺は、絶対に彼女のフィギュアが欲しい」

「市販されてるのを買えばいいじゃないですか」

「それがあればこんな苦労はしてない。ないから、プライズでしか立体化されないから、泣く泣くこうやって……」

「もう……。ダーリン!いい加減にしてくださいよ!」

「……ハイハイ、分かったよハニー。ここらで手を引きますよ」

「全然動揺しませんね。もしかして、誰かにダーリンって呼ばれ慣れてるんですか?」

「……たまに」

「だ、誰にですか?」

「幹典に。それこそ本当に、こういう場面で」

「なるほど、常習犯なんですね……」

「俺の好きなキャラクターがプライズ商品でしか立体化されない現実が悪い」

「そうやって責任転換するのはやめてください。かっこ悪いですよ」

「……ごめん」

「分かればいいです。さ、帰りましょう」

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