カスミの過去Ⅱ
自分が嫌になって、なり続けて。
気づいた時には、自暴自棄になっていた。
どうすれば簡単に、楽に死ねるのだろうということをずっと考えるようになったのだ。
両親が会いに来てくれないのなら、自分から会いに行くしかない。
そう、思っていたのに――
『これからはこんなふうに笑い合おうよ!』
こんな言葉を、かけてくれた人がいた。
こんな自分には、もったいないぐらいの優しい言葉。
『……この前のことは、チャラにしてあげるからさ』
一番年下の夏音を利用した酷い自分を許してくれた。
その言葉を聞いて、一生ついて行こうと決意した。
チョロいと思われるかもしれないが、自己嫌悪に陥っていたカスミにとって結衣は救世主なのである。
「結衣サン……」
ずっと暗闇を彷徨っていたカスミに、久しぶりの光が差し込む。
自分に手を差し伸べる結衣の顔は、笑っていた。
――どうしてそんなくだらないことで悩んでいるの?
そう、言われたような気がしたのだ。
そんな結衣の手をとった時、自分の中で何かが変わったような感覚を得た。
自分にも何か出来ることはある。
いや、自分
そう確信した。
結衣がいなければ、そのことに気づけなかったかもしれない。
それどころか、カスミ自身がこの世にいなかったかもしれない。
「……見ていてクダサイ。お父サン、お母サン」
笑顔で呟いたカスミは、大きな青い空に向かって――飛んでいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます