正統派ヒロインなんかなりたくない‼️

あいさ

第1話 どうなってんの?

おかしい…


目の前にはグルグル金髪縦ロール美女が床に叩きつけられている


あたしはというと、

やたらイケメン達に守るように囲まれてる


一番衣装派手で偉そうな奴があたしを守るように抱きしめる腕に力を込めて

美女に何か文句を言っている


美女は目に涙を込めながら口を歪め反論しようとしているがそんなことは許されず顔を大理石で出来高冷たい床へと突きつけられる


「もう大丈夫だアナスタシア」


あたしを抱きしめていた偉そうな奴がそう言葉を発した


その瞬間脳裏に今まであった出来事が目まぐるしく流れてきた


母子家庭の貧乏暮らしだったのに実は父親が貴族だった

そして貴族学園への入学

王子たちとの出会い

壮絶なイジメ


そして

『あれ?これももちゃんがはまってたゲームじゃね?しかも乙女ゲーじゃね?』

ももちゃんはあたしの幼なじみだ。

マンションの部屋が隣同士だったものだから親同士が勝手に遊ばせようとお互いの家に預けあっていた。

だが、価値観や話は合うが趣味は全く合わない。でも仲は良い(と、思って今まで生きてきた)


「アナスタシア…これでもう俺たちの愛を妨げる物は何もない」


『いやっ!!!いやいやいや、1ミクロンたりとも愛してねーし!!!!あたしのタイプは筋骨粒々だし!!!!折れそうなイケメンとか好みでも何でもねーし!!!!ちょっ、おまえっ待て!!!!』


王子が顔を近付けてくる


こんなファーストキスくそ食らえだっての!!


そう思っているのに体も口も自分の意思では動かない。


どうなってんだよ!


すると目の前にフィンとパソコンの立ち上げるような音がし、選択肢がでてきた…



①目をつぶる

②頬を染める

③「そ、そんな…皆が見ているのにっ」




『はぁーーーー?????』


アナスタシア的な顔は一切変わらない。

というかこの選択肢が出ている間この世界は動かないようだ。


あたしの目の前の鼻につくイケメンもどきも固まっている。


が、心の中のあたしは顔面がこれでもかといつほど歪んでいるだろう。


というかどれ選んでもキャラじゃない


でも敢えて…あえていうならこいつとの接触を回避できそうな選択肢はっ…



③「そっ、そんな…皆が見ているのにっ」


あたしの口から、というかアナスタシアの口から発せられた声は物凄くマンザラではない様子に吐き気を覚えた。


「くくくっ…そうであったな。アナスタシア、そなたは本当に奥ゆかしい」



ぷっちーーーーん



このエセイケメン!!!!禿げろ!

禿げ散らかしても同じ台詞が言えんのか!!!!


グーでパンチをミゾオチに向けて放ったのだが、やはり身体は動かず辛うじて右手がピクピク動く程度であった…


このイライラに反比例するかのような甘い声でアナスタシアは言う

「ジョセフ王子…もう」


アナスタシアもキツイ!自分だけどもう何これ!!!!とにかく自分ならこういうことは言わないんだよ!!!!


甘々デレデレタイムをアナスタシア目線で吐き気を催しながら右から左へと流しつつ観賞している(しかない状況であると主張したい)と、また選択肢が表れた。


①はい

②喜んで

わたくしも愛しております



ん…?


あまりの吐き気に会話を聞こうと思ってなかったが…


多分この三択は三択であって三択でない。


つまりブラック企業によくあるという噂のYes or はい


一択ですか?そのようですね


選択肢の上を良く見ると過去ログのような会話が載っている


どれどれ

嫌な予感しかないが



ジョセフ「では、改めて言わせてくれ。汝アナスタシアはこのジョセフと結婚してくれますか?」




……

………………おわた







禿げ散らかせーーー!!!!!!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る