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『あの……こちら、「アルジュナ」。地上用のドローンの映像にブレが起きてて……変だと思って調べて……』

『すまん、手短に頼む』

『は……はい……。トラックが2台と、その護衛らしい戦闘用パワーローダー2台が……港に近付いて来てます』

『そ……そんな……3月のアレに続いて……』

 「ハヌマン」から無線が入る。

『こちら「ダークファルコン」。一番近いのは、私達だ……中を探った。有人だ』

『こちら「ルチア」。じゃあ、「ダークファルコン」の能力で、操縦士を……』

『それをやるには……いささか以上の問題が有る。手短に言うと、私は生命力を検知する事で……えっと……その……ああ、長くなるから、もっと手短に言うぞ。あのパワーローダーの操縦士は……おそらくだが……両方とも、中学生ぐらいの女の子だ。ちなみに健康状態は、両方共に、結構、良好』

「あ……あの……すいません……アレ……」

 その時、近くに居た今村君が声をかけた。

 あたし達が見張っていた不審なトラックのコンテナから3人の人間が出て来た。

 1人は……見覚えが無い。あたしより、少し年下ぐらいの眼鏡の女の子。

 次の1人には……見覚えが有る。

 あの夜の会った「神保町」の自警団の一員。

 そして、もう1人には……もっと見覚えが有る。いや、正確には、見覚えが有るのは、その外側で、中身が誰かは、推測だけど。

 強化服「水城みずき」。それも、左肩と口元だけ、明らかに装甲の素材が違う一〇年以上前の型式のものだった。

「あ……あの馬鹿……」

「えっと……まさか……あれが……」

 「小坊主」さんも事態を察したようだった。

「確か……何か有ったら、貴方の指示に従えと……」

「すいません、『おっちゃん』。ちょっと大変な事に……今から、映像を送ります……あっ‼」

「どうしたの?」

「あの……『水城みずき』が持ってる武器……かなり強力な呪物です」

「えっ……じゃあ、あの馬鹿が、ここに居る事は……」

「どうやってかは不明ですが、さっきまでは……魔力の気配みたいなモノを消してたみたいですが……ここから先は……どうなるか……」

 その時、荒木田さんから無線通信が入る。

『こちら「ダークファルコン」。子供を移送してるトラックも変だ……。トラックの中の生きた人間の中に……大人が居ない』

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