第10話 泥酔少女

「イベントやコンサートはアハ教のミサだ! 〇〇少女ワールド! アハッ!」

 真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中!


「歩くの疲れた・・・・・・。」

 楓は疲れていた。

「小学一年生の楓には遠出は無理ね。勝った! おバカな私でも自称天才の妹に勝てた! アハッ!」

 体力だけでも姉として妹に勝ち、小さい喜びに歓喜する真理亜。

「自称じゃないわよ。本当に天才なんだから。はあはあ、ぜいぜい。なんで電車が走ってないのよ?」

 バテバテの楓。

「電車なんかある訳ないでしょ。時代劇なんだから。」

 ごもっとも。

「しまった!? 子分少女を人力車少女か、かご少女にすれば移動が楽だった。べつにおんぶ少女でもいいけど。アハッ!」

「おまえは鬼か!?」

「アハッ!」

 笑って誤魔化す楓。

「そうね。移動で街道を歩いている時に、茶店でお茶を飲んだり、団子を食べて休憩して体力を回復すればいいのよね。郵便屋の飛脚ともすれ違ったり。」

「そうそう。山賊、盗賊、海賊とかに出会ったら、片っ端から斬り殺せばいいのよね。宿代くらいは持ってるでしょう。死体から奪ったお金で高級宿屋に泊まって大宴会よ! アハッ!」

「自称天才、お主もなかなかの悪よのう。アハッ!」

「おバカなお姉ちゃんには負けますな。アハッ!」

 アハアハアハアハ! と馬鹿笑いする同じアハ教信者の姉妹。

「恵比寿村に着いたらお茶にしましょう。」

「やったー! 砂漠にオアシスね! アハッ!」

 二人は恵比寿村に着いた。

「お! あんなところにお茶屋さんが! 行きましょう! お姉様! アハッ!」

「いざ! 参ろう! なんてカワイイ妹なんだ! アハッ!」

 二人はお茶屋というビール屋に入ってしまった。

「いらっしゃいませ。ご注文は?」

 茶店少女が注文を聞きに来る。

「コーラ!」

「オレンジジュース!」

「あの・・・・・・ジュースは置いていないんですが。」

「なら水!」

「麦茶!」 

「あの・・・・・・ソフトドリンクも置いてないんです。」

「なに!? サービスの悪店ね!」

「そうよ! こっちは喉が渇いているのよ! 何ならあるのよ?」

「恵比寿村の特産品、恵比寿ビールならありますよ!」

「なら恵比寿ビー・・・・・・と見せかけて、バーボン!」

「私はウオッカ! ジャンジャン持ってきて! アハッ!」

 周りの大人からすると、子供が騒いでいるように見えた。

「お嬢ちゃんたち、ここは子供が来る場所じゃないよ。ここは大人の社交場だ。それとも営業妨害で代官所に引っ立てられたいかい? ヒクッ!」

 そこに一人の酔っ払いの少女が現れる。

「何者だ!?」

「私は泥酔少女。ただの酔っ払いさ。ヒクッ!」

 現れたのは酔っぱらいの少女だった。

「用心棒の先生! この失礼な少女たちを懲らしめてください!」

「分かりました。」

 泥酔少女が真理亜たちに襲い掛かる。

「許せ。お嬢ちゃんたち。私も生きていくためにはお金を稼がないといけない。雇い主の茶店の女将少女が言うんだ。おまえたちを斬らねばならない。ヒクッ!」

 刀を構える用心棒少女。

「ここは私が相手をしよう!」

 楓が一歩前に出る。

「がんばって! 我が妹よ!」

「お姉ちゃん!? ここは私が代わりに戦うわっていう所よ!?」

「だって、用心棒少女は強そうで怖いんだもん。アハッ!」

「・・・・・・。」

 妹を見捨てる姉。

「いいわよ! いいわよ! 私が用心棒少女をやってやる! 必殺! 五連撃!」

 楓は得意の連撃で攻撃を開始する。

「ヒクッ! ヒクッ! ヒクッ!」

 しかし、用心棒少女はヒラリヒラリとかわして楓の攻撃をかわしていく。

「なに!? 私の連撃が当たらない!?」

「まさか!? あの動きは!?」

 何かを思い出した真理亜は動揺している。

「何か知っているの!? お姉ちゃん!?」

「昔、ガパオ師匠から聞いたことがある。ビールの飲み過ぎで酔っ払いの千鳥足のくせに強い暗殺刀の使い手少女がいるという。その少女が使うの酔拳刀!?」

「酔拳刀!?」

「その通り。私は酔っ払い流酔拳刀の使い手だ。ヒクッ!」

 酔っ払い少女は酔拳刀の使い手であった。

「くらえ! 酔っ払い奥義! 酔! 拳! 刀!」

「ギャアアアアアアー!?」

「楓!?」

 酔っ払い少女の奥義に楓が吹き飛ばされる。

「酷い!? 子供相手に大人げない。サイキック・インスピレーション!」

 真理亜は酔っ払い少女の心の中に入る。

「私は孤児で生きていくためには強くならなければいけなかった。そうしなければ私は死んでいた。ある日、アルコール中毒師匠に拾ってもらい、酔っ払い流の刀術を教えてもらった。そうでなければ今頃私は餓死して死んでいただろう。」

 悲しい酔っ払い少女の過去である。

「同じだ。同じ悲しみだ。私たちもガパオ師匠に出会ってなかったら、今頃無力で死んでいたかもしれない。」

「強くなければ、殺されるのを待つだけなのだ! ヒクッ!」

「やめて!? あなたの悲しみは私たちの悲しみと同じなのよ!? 私たちが戦う理由が無いわ!?」

「おまえは侵略者! 私はボディーガード! 同じ悲しみを抱いていても、立場が違うのだよ!」

「この分からず屋!」

「ヒクッ! なんだか眠くなっちゃった・・・・・・zzz。」

 バタっと用心棒少女はお酒に酔って眠ってしまった。

「何が何だか分からんが、恵比寿村! 制覇! アハッ!」

「これでいいのかしら?」

 これでいいのだ。アハッ!

 つづく。

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