〇〇少女ワールド 4 時代劇
渋谷かな
第1話 ござる少女
「時代劇でもお友達になろう! 〇〇少女ワールド! アハッ!」
真理亜、お友達10億人キャンペーン実施中!
「お友達になってでござる!」
時は戦国時代。
「キャアアアアアアー! 野盗よー! 逃げろー!」
貧しい戦国時代もお友達を作るのは、とても難しい時代であった。真理亜を人殺しと思った人々は走って逃げだした。
「誰が野盗だ! おまえらなんか犬に食われて死んでしまえでござる! ・・・・・・・悲しい。」
たぶん真理亜のご先祖様。
「おおー! 我が主! アハ神様よ! 哀れな私をお救いたまえ! アハッ!」
昔から真理亜はアハ教徒の一員であった。
「クソッ! キリシタン少女に後れを取らなければ、隠れアハ教徒にならずに済んだのに!?」
キリシタン少女のザビエルは日本で猛威を振るうキリスト教の布教活動を行っていた。それに負けたアハ教。
「真理亜お姉ちゃん。戦利品がいっぱいだよ。アハッ!」
「楓、アルコール消毒しろよ。血塗れの刀や鎧にはウイルスがたくさんついているからな。」
真理亜の妹の楓。戦場や町で拾い物をして生計を立てている。
「キャアアアアアアー!」
その時、真理亜のお友達勧誘を断った人々の悲鳴が聞こえる。
「ふん、ざまあみろ。アハ神様の祟りでござる。」
真理亜は信仰深いアハ教徒。
「おい、そこの侍! 金を置いていけ! そうすれば命だけは助けてやるぞ! グワッハッハー!」
本当に野党が現れた。
「助けてください!」
捕まった女たちが真理亜に助けを求める。
「自分勝手に好き勝手に言う。私がお友達になってと言ったら逃げたでござる。」
ざまあみろと捕まった女を眺める真理亜。
「助けてください! 何でもします! お友達になります!」
その言葉に真理亜が反応する。
「本当でござるか? 私とお友達になってくれるでござるか?」
嬉しそうに確認する真理亜。
「はい! あなたと私はお友達です!」
真理亜と捕まった女たちとサラ金の契約よりも厳しいお友達契約が成立した。
「おい、野盗共。女たちは返してもらうぞ。」
鋭い目つきで戦闘態勢に入る真理亜。
「はあ? 女は高値で売れるからあげない。おまえ一人で俺たち10人以上の野党と戦う気か? 勝負にもならねえぞ。グワッハッハー!」
真理亜をバカにする野盗たち。
「それはやってみないと分からないでござる。」
「なに?」
「私はお友達は絶対に助ける主義でござる。」
真理亜の信念である。
「野郎ども! やっちまえ!」
「フィー!」
野盗たちが真理亜に襲い掛かる。
「一度死ななければ分からないようだな。いでよ! サイキック刀!」
真理亜の呼び出しに何もない所から刀が現れる。
「か、刀!? 刀が現れただと!? まさか!? おまえが巷で噂の妖刀使いか!?」
普通の刀ではない刀を、妖刀使いと呼んでいた。
「死ねー!」
「シャオー!」
真理亜はサイキック刀で襲い掛かる野盗を一蹴した。
「ギャアアアアアアー!?」
「一振り!? たった一振りで一度に10人の野盗を倒したというのか!?」
侍としての真理亜の実力はハイレベルだった。
「次はおまえの番だ。」
真理亜が野盗の親分に迫る。
「ヒイイー!? 命ばかりはお助け下さい!?」
泣いて土下座して命乞いをする親分。
「他人の命乞いは無視するのに、自分の命乞いはするのか?」
もっともなことを言い親分の命乞いを無視する真理亜。
「ヒイイー!? お友達になります!? あなたのお友達になります!? だから命ばかりはお助け下さい!?」
「いいよ! アハッ!」
満面の笑顔で親分の命乞いを受け入れる真理亜。
「隙あり!」
油断して浮かれている真理亜に親分が襲い掛かる。
「甘い! おまえが私を裏切ることは分かっていたのだよ! くらえ! 私の隠し必殺! タイキック!」
真理亜は刀ではなく、親分に強烈な蹴りをお見舞いする。
「ギャアアアアアアー!?」
親分は星になって消え去った。
「お友達は裏切らない。裏切ったお友達には死を。」
これが侍の真理亜のお友達主義である。
「ありがとうございます。おかげで命が助かりました。」
さらわれた女たちは喜んで真理亜にお礼を言っている。
「なに、お友達だから当然のことをしたまででござる。」
お友達は助け合い。
「ということで助けたのだから、今度はこちらを助けてもらうということで、遊郭で体を張って働いてもらうでござる。」
「なんですと!?」
「お友達なんだから助け合わないとね。アハッ!」
真理亜の狙いは助けた女を遊郭で働かせてお金儲けすることであった。
「嫌なら他の道もあるでござるよ。」
「他の道?」
「アハ教徒になり、選挙の時の応援演説に駆けつけ、コンサートの時には全力でチケットを捌くなどのアハ教の信者になりアハ神に身を捧げるのでござる。ただし普段の生活は今まで通り暮らせます。」
「はい! アハ教徒になります!」
選択肢の無かった女どもはアハ教に入教した。
「私はお友達には優しいでござる。アハッ!」
真理亜はお友達が増えて嬉しかった。
「お姉ちゃん、強引な勧誘は消費者庁に訴えられるよ?」
「楓、時代劇に消費者庁はないのよ。分かった。」
「あ、そっか。アハッ!」
真理亜は時代劇でも元気に生きていく。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。