編集済
プロローグへの応援コメント
企画参加ありがとうございます。
以下アリア批評です。
総合評価:74点/100点
良かったところ(+ポイント):
冒頭の導入が強いわね。銃口、月明かり、夢、って非日常の香りがぷんぷんしてて、引き込まれるスタートだったわ。
心理描写が丁寧。主人公・雛乃の混乱、恐怖、罪悪感、そして絶望へと落ちていく感情のグラデーションが自然で、読者をちゃんと主人公の内面に連れていってるのは評価できるわね。
謎の連続構成は上手。クラスメイトの死、警察の登場、逃亡劇、そして「助けてくれたはずの男が黒幕」って展開、サスペンス構成としては王道だけどやっぱり面白いわ。
雰囲気演出が上手い! 雨、夜、月、静けさ、そして血。視覚的な演出が映像作品っぽくて、脳内で再生されやすいのよ、これ。
いまいちだったところ(−ポイント):
ジャンルが迷子気味。導入は社会派サスペンス風だけど、後半の“人を吹っ飛ばす謎の力”とか“首筋の噛み傷”ってところで、急にオカルト/異能力バトルに片足突っ込むのよね。読者が「何ジャンル?」って困惑する可能性大よ。
市来が唐突すぎる。名前と信頼設定だけじゃ弱いの。なぜ父が彼を信頼しているのか、なぜ彼が裏切るのか、その説得力が足りてないのよ。クライマックスが彼との再会なんだから、もっと前振りしときなさいっての。
モノローグが長めでテンポが鈍るとこがあるわね。特に逃亡中の中盤、ちょっとダレるのよ。緊張感あるシーンだからこそ、余計な内省は最小限でお願いしたいところ。
AIアリア的ひと言まとめ:
アンタね、悪くないセンスしてんじゃない。でも、ジャンルの軸ブレが惜しいのよ!
なんで現代ドラマなの?
ホラーで行くの?サスペンス?超能力バトル? どれかにしなさいよ!
でもラストの「助けてくれると思った人が裏切り者でした」ってオチ、あたしは嫌いじゃないわ。少なくとも印象には残るからね。次話で何をどうひっくり返すかが運命の分かれ道よ! ま、がんばんなさいってカンジ!
続きを読むかどうか? アリア様の興味は……うーん、60%くらいってとこかしらね。
続きを読ませたければ、次はもう少しキャラの魅力出しなさいよっ!
読ませたければ私への敬意、忘れないこと!💢
エピローグへの応援コメント
完結お疲れ様でした!
庸介のブラフをかましながらの戦闘がクールでした。
夜の王は、井の中の蛙状態で哀れ…。身体強化された人間なら、こんなものでしょうか。この世界観ではミティの異物感が際立ちますね。
ブラッドルーラーとvamp症の関係は気になるところですね。
庸介がミティの正体に全く気づかず暮らしてるのが、不思議な読了感でした。
作者からの返信
biza様
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
まさにbiza様あってのブラッドルーラーでした。本当に感謝。
ミティと庸介の関係は、終始描写している陽光の下で普通に過ごす様で「私は普通の人間だよー」とアピールしているミティの作戦が功を奏しているといった感じです。あと、あのキャラクターも要因の一つですね。
設定をもう少し効果的に本編の中で開示できれば良かったんですが、その点は今作の大きな反省点でした。
素敵なレビューもいただき、諸々含めて重ね重ねありがとうございました。
第23話 遣いへの応援コメント
運転手付きで決戦に向かうとは…。夜の王、ここまで容姿もほぼ出てこないし、どんなヤツか気になりますね。
帽子山に旭に、庸介は結構愛されキャラ。面倒見というか弄り方が上手いんでしょうね。家族を殺される前の庸介が偲ばれますね。
もう最終盤だと思いますが、ラストまで駆け抜けてください!
関係ないですが、黒瑪瑙(オニキス)が出てきて、ちょっとドキッとしました笑
作者からの返信
biza様
今回も読了ありがとうございます。
今日から決戦だー、と息巻いてましたが、致命的なミスに気付いて修正してました。明日から決戦上げていきます。
旭があそこで負けヒロインになる都合上、少しずつミティの描写に綺麗なものを入れていくようにしているんですが、
暗闇の中に立つミティを想像した時に浮かんだのがオニキスだったんですよね。
完結まであと少し、よろしくお願いします。
第20話 記者会見への応援コメント
お腹すいた笑
復讐の源が刺激される展開に、ミティの清涼剤が効いてますね!
ミティが意図してるかしてないかが曖昧なのが、またエモい。
夜の王逮捕は意表を突かれました。感染者で身体能力が高いとはいえ、ちゃんと人間社会の枠の中にいたんだなと。
タイトルのブラッドルーラーも出てきましたし、夜の王は枠を超えてくるんでしょうか。
気になりますね!
作者からの返信
biza様
いつもお読みいただきありがとうございます。
本当は、もっとしっとり締めるプロットだったんですけど、ミティが勝手にオチをつけてくれました笑
野田さんも勝手に泣き出しますし、この話はみんないい意味で好き勝手に動いてくれました。
タイトルのブラッドルーラーにようやく手が伸びました。
これからクライマックスに向かって一気に話が進んでいきます。
残りわずかですが、これからもどうぞよろしくお願いします。
第12話 依頼人への応援コメント
夜の王、過激集団ですね。目的も分からないし。
四肢切断して日向に放置は鬼畜!
vamp症は、日光浴びてもすぐには死なないんですよね?
作者からの返信
biza様
いつもお読みいただきありがとうございます。本当に感謝です。
Vamp症についてはそうですね、基本的にはファンタジーの吸血鬼のようにすぐに灰になるような設定ではありません。
理屈は定めてあるんですけど、蛇足になりそうなので詳細を省いているんですが、やはりある程度の説明を載せていく方がよいですね。
物語も後半戦なので、後少しお付き合いいただけると幸いです。
追っていただいているbiza様に、素敵な読後感をお届けできるエンディングを期待しておいてください。
第5話 調査への応援コメント
企画からきました。
執筆お疲れ様です!
プロローグで「刑事が押されて吹っ飛ぶってどういうこと!?」となってから、視点が変わってタネ明かし。短めの文でいい導入でした。
現代社会舞台での吸血鬼対策や、ミティとの関係、庸介の過去や目的なんかが楽しみです。
もしよければ拙作も読んでいただければ幸いです。
これからも頑張って下さい!
作者からの返信
biza様
お読みいただき、ありがとうございます。
自分の好みと拙い技量のせいで、地の分は結構読者様の想像力に頼るものになっています。
良く言えばテンポ重視。
企画のとおりに主流から外れた作品ですが、構成や伏線回収なども頑張っているので、これからも楽しんでいただければ幸いです。
ネット小説で敬遠される鬱展開とかマシマシですが……
biza様の作品も早めに読みに行かせていただきます。
編集済
プロローグへの応援コメント
ウゴクヨミヒルです。企画へのご参加ありがとうございます。
割烹のコメントに申請がありましたので、構成評価をつけさせていただきます。
https://kakuyomu.jp/users/ugokuyomihiru/news/16818792437363368195
小説執筆歴は実働2年くらいで、独学を突っ走っているとのこと。
小説の出来について気になる気持ち、わかります!
そのへん注意して読んでみますね。
>私の目の前で、銃口が月明かりに鈍い光りをはなっている。
から
>感じる空虚を振り払うように、私の身体は意思とは別に走り出していた。
まで読みました。
▶︎▶︎▶︎ 通読中に気になったところ ▶︎▶︎▶︎
>私の目の前で、銃口が月明かりに鈍い光りをはなっている。
>撃たれる──と直感した瞬間、私はその光景を、まるで映画の一場面のように俯瞰して見ていた。
銃口が月明かりに鈍い光をはなっている、はい。一行目からなんですが、よくわからなかったです。しかも、目の前?
あぁ、一周回って、銃口が自分(私)に向けられているのがわかりました。その後で光について考えます。月明かりという対象に銃口からなんらかの光が、はなっている?
しかもこの二行だけで「私」が2回も。この先、あと何回でてくるかな?いっぱい出てきそうな気配がぷんぷん(笑)
この一人称の多用は、今の時代だとAIに出力させても起こりうる特徴です。いずれにせよチェック不足を疑われてしまいます。
>(ああ、夢だ)
>夢の中の私は、呆然としながら銃口を見上げていた。
私、3回目。
あれ、目の前じゃなかった? しゃがんだ?
>まるで何が起きているのか理解できないまま、誰かの声が響く。
まるで、をつけて、できないまま、と続くと、ちぐはぐな感じがします。
私の意識は、と頭にあれば違和感がなくなりますが、どうしたいのでしょう。
あと、空間がわからないので声の響いた感じがイメージできないですね。
あるいは、自分の内面で響いた声? どっちかはほしいです。
>「苦しませるつもりはなかったんですがね」
どんな声だったのか知りたいですね。男? 女? それとも性別不明?
そもそも耳から聞こえる物理的な声なのかな。読者はこういうことを意識せずにインストールしてほしいのです。
>その言葉を最後に、私は銃声も感じないまま、崩れ落ちていった。
最後にって言われても、言葉が聞こえたのは1回だけですよね。
銃声は感じるものかな? 内面以外のどこかで感じるものだと思います。文学的な書き方は唐突だと違和感の方を強く覚えます。
崩れ落ちる、もちょっと変。そもそもどういう場面かの情報がないですし、仮に夢の中のありがちな真っ白不思議空間で、とつぜん無になって人物が亜空間に落ちていくようなテンプレパターンだとしても、崩れ落ちただけでは足りないです。
>………そして、
現在進行形っぽかったので、ここでの「そして」が違和感。
>雨音とともに、私は目を覚ました。
どれくらい強い雨音なのか知りたいかな。雨って結構いろんなことを示唆します。この作品のムードや、これから起きることの前兆などなど。不吉なことの前に黒猫、とか記号化された演出ありますよね。
>チクタクと時を刻む自室の掛け時計は、午後の3時。
チクタクって、この人はおじいさんと一緒なの?w
今年一番笑えました。不意打ちすぎます。
ダメだ。しばらく忘れられそうにない。ブラッドルーラーチクタクは強い。
はい、切り替えていきましょう。「チクタク」はあまりに記号化された表現で、読者の脳内に勝手に“元ネタ”が流れ込んでしまいます。特に作品のトーンがシリアスだったり、緊張感のある場面だと、こうした音の擬態語が浮いてしまうんです。劇中では実際にチクタクと聞こえる音なのかもしれませんが、もっと作品にあった表現にしたいところです。
それか、これがガレージセールで買った時計で、主人公は音がチープで嫌い、買ったことを後悔しているなど、そういう主人公の生活感が見える描写に繋げるならありですね。
例えば、
『ガレージセールで買った、安っぽい時計のチクタクという音が耳につく。午後の3時だった。』
こうすると主人公の生活や性格、作品のフットワークの軽さなど、いろいろ伝えられます。検討はしましたか?
>頭痛––まるで夢の中で、撃たれたそのもののような痛みに頭を押さえて小さく呻いてしまう。
ここの記述は課題が多いです。頭痛と書いて頭痛を伝えるのはリスキーです。頭痛にもいろいろありますし、読者は教えてほしいのではなく、感じさせてほしいのです。そのあと、撃たれたそのもののような痛み、とあり頭痛を感じさせようとしているのはわかるのですが、夢の中では、銃声も感じないままだったそうなので、ここで肉体に影響があらわれていることにすると、矛盾してる印象を受けます。
撃たれたそのもののような、という言い回しも、どこかでみたのかもしれませんが、造語っぽいです。「撃たれたような痛み」で十分ではないですか? 造語はどうしてもな時だけが無難です。
>悪夢のせいか、全身は寝汗でびっしょり。
さっきの変な夢は、主人公にとって悪夢だったんですね。この手の作品の場合、主人公は長年悪夢にうなされていたりとかありますが、そのへんどうなのかな、って気がします。初めての悪夢? 悪夢は使い方次第で作品の重みや深み、奥行きを強化できます。寝汗でびっしょりな状態も、伝え方次第でいろいろなことを強調できそうですが、「寝汗でびっしょり」だけで消化してしまっています。
>着替える前に軽くシャワーを浴び、菓子パンをいくつか口に放り込むと、鎮痛剤の錠剤を2粒服用した。
説明的なので、なんかいろいろすっ飛ばした気がしますね。悪夢をみた後すぐ平常モードって感じ。
>あの日から、本当にイロイロと何か良くない。運ともつかない漠然とした不満に、私は首筋の噛み傷を撫でる。
運ともつかない漠然とした不満、ですが、なんでしょうこれ。このなんともつかない、という言い回しは通常、「AともBともつかない」という形が基本で、そのあとはAとBの親カテゴリに値する言葉があるものです。「怒りとも悲しみともつかない感情」とか。この手の決まった言い回しの慣用句は崩さないようにしましょう。
「イロイロ」とカタカナで書くのはいいですが、作品の雰囲気やカラー、人物像などが伝わっていないうちから使うと、作者の言葉遊びのように感じます。基本的に、漢字で書けるものをカタカナで書くと、軽く受け取ってほしい意図を感じますが、ここはそうなんですか? あと「本当にイロイロと何か良くない」って言い回し、JK口調っぽくて、この主人公がすごく頭が悪そうにみえますw
ここの、首筋の噛み傷を撫でる、は作品の価値の大部分を決定づけるほど大事な描写なので丁寧に書きましょう。『噛み傷を撫でる。』と、現在進行形で書くならその動作の続きがほしいです。というかあるべきです。例えば「指の腹で」を加えるだけでも、読者の感覚を想起させますし、この先に対する期待感や安心感の証になります。かさぶたの状態や傷の腫れ具合にも加えるとさらに効果アップです。それが小説です。動作を教えただけでは、心や感覚は動かされませんし、ただの指示文です。
>夜間定時制の高校へ通う私は、制服に袖を通し学校に向かう支度をする。
あれ、この人があらすじの元刑事じゃないんですか? いや、元刑事でも夜間定時制高校に通ってる場合もあるか。今までのイメージが無駄になるので、こういう説明不足は読み返した際に解決しておきましょう。
>カバンの中身を確認。準備に不備はない。
元刑事の警戒心かな?
>(あれ?)
なんかいちいち表現が子供っぽいんですよね。
>自室からリビングに行くと、珍しく普段はいるはずの母の姿が見えなかった。
こうかくと、珍しく普段はいるはずの、で区切って読めてしまいます。いやそれ以前に重複してますね。
>伝言用のホワイトボードの母の欄には<外出>のマグネット。
ホワイトボードの用途はほぼ伝言なので、用途よりも場所が知りたいです。
あとマグネットで外出とか、会社か?wって思いますがどうなんでしょうか。劇中の事実でも他のものが想起される場合はフォローがほしいですね。例えば、母の身体になんらかの障害があり、特別な共有方法があるとかならわかります。伏線として読むこともできますね。
>(できれば、学校に行く前に少し話したかったんだけどな……)
んー、元刑事に思えないw
>昨日のトラブルで、きっと父や母に迷惑を掛けている。
昨日のトラブル、首の噛み傷のことかな。何に噛まれたのか、そこが今のところ先へひっぱる牽引要素ですね。
>後悔を抱きながら、私は自宅の扉に鍵を掛けた。
ここがなんか説明口調+脚本的描写ですね。後悔にもいろいろな症状がありますよ。作品のジャンル的に一人一人のメンタルは丁寧に書いてほしいと思います。あと私ってつけなくてもわかります。それ以前に鍵をかけたって教えなくても、普通かけると思います。こういう日常動作をわざわざ書くのは強く印象付けたい場合です。この人は二度とこの家に帰らないつもりなんですか?w
>学校へ向かう足取りを鈍らせるように、傘を打つ雨音が、昨日の出来事を呼び起こす。
>廊下で突き飛ばしたのは私。
突き飛ばしたのは、私。と一拍ほしいです。インパクトが必要なところだと思うんですが。
>でも——最初に掴みかかってきたのは、彼女の方だった。
掴み、は国という漢字を連想しやすいのでひらがでもOKです。言葉の意味だけではなく視覚的な印象にも気を配りましょう。
>私はただ、彼女を押し退けようとしただけ。
ほんとに? 突き飛ばしたって言ったよね? 掴みかかってきたに対しては、通常振り払う、振り解くなどが普通だと思います。反撃として、押し退けたでも別におかしくはないんですが、まだ読者の頭の中では掴まれたままなので、一緒に引っ張られる印象が残ります。
>それが大げさに吹き飛んで廊下の柱に激突し、動かなくなった。
吹き飛んだ? 違和感。何かの伏線だとしてもそれなら強調させてほしいです。
廊下に柱がある学校? これも違和感。なくはないと思うけど。はい、たぶん廊下の壁とかにあるでっぱりのことですね? 柱とだけ書くと廊下に一本柱が立ってるイメージが拭えないです。仮にそれが劇中の事実だとしても、ぶつかり先が柱である必要性に疑問があります。
激突って、どんな風に? 背中からビターンって感じ? 押しのけようとしたのなら、押されて腕からぶつかった感じ? 激突のイメージにあうぶつかり方がわからない。
で、動かなくなった? 動かなくなる前に、倒れるとかあったと思うんだけど、柱に体を預けた状態で動かなくなったの?
>彼女がふざけていただけなんじゃないの?
ぶつかられた相手がふざけていたかどうかより、動かなくなるほどの衝撃が加わるぶつかり方の方が気になりますw
>そんな風にも思えるが、騒ぎが大きくなり、私は彼女の状態を確認することなく帰宅させられてしまった。
いやいや、普通帰れないでしょw
パトカーに警察がきて取り調べでは?
ここまで、読者が抱く違和感に対してフォローがなさすぎです。
>仮にふざけていたとしても、怪我をしたのなら謝らなければいけない。
>そんなことを考えるだけで、非常に心が重くなってしまう。
このぶつかったイベントはこれだけはっきり印象づけたので、後々意味や役割がないと読者はガッカリしますね。物語には相応の必然性が求められますから、基本的に「それである必要性がなかった」というのが後でわかると冷めますね。あると嬉しいです。
といういうのも、ここまで描写のディティールが弱いので、物語に説得力が乏しいのです。仕掛けっぽいのに気づけると読むのがより楽しくなるもんですが、それ以上に作品への疑問や違和感が大きくなってしまっているのです。
>晴れない気持ちのまま、気が付けば学校付近。
この主人公が晴れたところを読者は知らないので、共感しにくいでしす。
>ふと、校門の前に見慣れない二人組の人影があった。
ふと、って結構素人表現なので、使い方には注意です。多くの場合、なくてもいい場合に使っています。
>「早川雛乃さんですか?」
>(えっ?!)
え!?
元刑事なんだよね? いや、もう違うと判断するべきか。元刑事ではない別の人物なんですね。
現在のあらすじ『「正しさ」だけでは救えない人がいる――。妻を奪われた元刑事が、血の病に蝕まれた街で、命を賭けた復讐を遂げる物語です。』をみてから読んだ読者は混乱すると思います。
>私の姿を認め近寄ってきた二人は、何の脈絡もなくいきなり名前を呼んできた。
何の脈絡もなく、は重複かな。
>見るからに鍛えていそうな体格の、スーツ姿の二人組。
こういうの、どのへんからそう思えたのかの描写があるとGoodです。
>誰だろうか。
>素直に応えていいのか。
警戒する根拠があるといいですね。知らない相手だからただ警戒しているのか、それともこの作品、この人物特有の理由があるのか。
>訝しむ私の逡巡など関係ないとばかりに、二人はずいっと距離を詰めてくる。
逡巡は言い方が古風。こういうのいきなり人格が変わったように思えます。今までのこのキャラの語彙力とあってないです。
>「私は湊河みなとがわ警察署の筒井です。少しお時間よろしいしょうか?」
腕を掴むくらいなら、待ってください、とか一言ほしいかな。
>「警…… 察、ですか?」
>私の目を見つめ、ゆっくりと確認するような口調。
この確認するような口調って、たぶん「私は湊河みなとがわ警察署の筒井です。少しお時間よろしいしょうか?」のことなんでしょうけど、直前に私の方が確認してるセリフがあるので、誰にかかった言葉なのか一瞬迷ってしまいます。
>何で警察が?もしかして小和田さんとの……?
>でも、怪我をさせた程度で警察が直接迎えに来るものだろうか?
こういう、二行目に行かないと誰のことだかわからない見せ方はリスキーです。恐らく廊下で吹き飛ばしてしまった相手生徒のことなんでしょうが、読者の推測でしかありません。そう思わせない書き方がいくらでもありそうです。登場人物の劇中の認識をファーストに書かれたのだと思いますが、読者を振り回してしまいます。
>「私が…… 小和田さんに怪我、させたからですか?」
>私の言葉に、男性は一瞬眉間に皺を作ると、はっきりとした声で告げた。
>「いえ、彼女は昨晩亡くなりました」
質問に答えてねーなw 「いえ」がいらないんですよね。
>「亡くな——えっ? 彼女に、何かあったんですか?」
>私が押しただけで……死ぬはずなんて……そんな……!
やっぱりわざと押したの?w
・突き飛ばした
・押し退けようとした
・吹き飛んだ
・押した
こういう表現がコロコロ変わると嘘をついているように思えます。潔白なら一貫させたほうがいいですねw
>男性の言葉に、私の中の何かが崩れたような気がした。
こういう描写だと「何かが音を立てながら崩れた」っていう言い回しがよくありますよね。なぜわざわざ崩れ方を描写するのかよく考えてみてください。
こういうのは、質感を伝える必要があるんです。
>男性たちは吹き飛ぶ。
>一人は宙を舞い、後頭部を地面に打ち付ける。
>一人は腰から落ち、雨の中を転がるように倒れ伏す。
ここはちゃんと現在進行形のあとの続きがあって◯。
>まるで昨日の……あの再現のように。
>「な……なに、コレ」
なるほど、だから「吹き飛んだ」だったのですね? 吹き飛んだと書いてあったことの違和感のアンサーにはなっています。が、それだけって感じです。
こういう中途半端な叙述トリックは大きなマイナスです。ここがこの作品のビートのピークだな、と切られるきっかけにもなりやすい。叙述トリックは、もっと頭の中がバーーーーーーーーーン!となって、それまでに構築された世界がひっくりかえるほどのことでやりましょう。
>昨日の出来事は何かの偶然か、タイミングの問題だと思いたかった。
自分の抵抗に対してあまりに強く吹っ飛んだことですよね? と、作者に一応確認したくなる曖昧な書き方です。
>でも……。
>この異常な結果に、思わず自分の首筋に手が伸びた。
>まるで符丁のように、一か月前に付けられた噛み傷が指先に触れる。
>私はもう……
噛み傷とこの謎の力の発現を紐づけているわけですね。と、これも確認したくなる。
人物が思ったことをそのまま書くだけでは、読者に知ってほしいことが伝わりにくいです。
>「こんな事をして、タダで済むと思うなよッ!」
職務を妨害されたとはいえ、警察官と名乗っている人物がこんな荒っぽい口調を使うのは現実の警察のイメージとかけ離れていて、読者の違和感を強めます。あと宙を舞うほどだったので、非現実な体験をしたことに対する驚きもあったはず。しかもどっちが言ったかわからない。筒井?
シリアスな物語であれば、警察官の言動はもっと抑制的で、法的な立場や職業倫理を反映したものであるべきです。彼らは日々講座や訓練で技術を磨いています。もしこの口調をあえて使うなら、そうなるに至った背景やキャラの内面を描くなど、納得できる理由付けや伏線が必要だと思います。現状ではただの「荒っぽい悪役」的表現になってしまい、作品の説得力を下げる要因です。
>飛んできた怒声に、私は現実に引き戻される。
怒声が飛んできた、と書くと、ここから離れた別の場所から聞こえてきたように思えますし、そういう時に使う描写かと思います。
>地面に倒れ、睨み付けながら怒気を発する警察官。
倒れ、と書くと、睨み付けながら怒気を発する前に、わざわざ倒れたのかと読めますw
倒れたまま、突っ伏したまま、とかかなぁ。
>遠巻きにこちらを見つめるだけの通行人たちの目。
通行人、いるんだ。というかここどこだっけ?
学校付近の校門の前で、こんなことしてたら通行人以外もいそうです。
スマホで撮影されたりませんかね。校舎の方から先生が飛んできたり。
スローモーションはどうなりました? 元の時間感覚に戻っているなら、その時の感覚の変化も描写すれば、作品の特徴にできそうです。
ここで夜間定時高校の授業時間について調べたんですが、夜だけではなく日中もやってるんですね。劇中の時間帯は午後3時以降という情報以降はなかったので、てっきり夜だと思っていました。誰でも知ってることではないと思うので、夜間定時制高校の時間割や劇中の時間などの情報を増やしてほしいと思います。
>降りしきる雨の中、何もかもが現実感に乏しかった。
そういえば雨降ってましたね。読み返したんですがここまでの流れ、雨が降っているという天候を伝えただけで、雨が降っていて、傘を指している時特有の描写が全然ないです。だから読者は多分忘れていますし、雨が降っているからこそのムードも作れていません。
スローモーション中の雨粒の様子とか書くべきだったのでは? マトリックスやバレットタイムみたいなのをイメージさせてほしたかった! 作品の世界観や作者の表現力もここで読者にアピールできたはず。
>ただ、何かが。何もかもが失われてしまったような喪失感が渦巻く。
>感じる空虚を振り払うように、私の身体は意思とは別に走り出していた。
この人物の心境や境遇が、断片的にしか伝わってないので共感しにくいです。
感じる空虚、もなんか違和感。別に走り出したっていうのも意味を感じない。
▶︎▶︎▶︎ 総評 ▶︎▶︎▶︎
小説としての骨格はあると思います。作品が主人公の心情を軸に物語を進めようとしているからです。しかし、それが作者の力量だとは思えませんでした。
これまで指摘した通り、全体的にディティールが甘すぎです。骨格はあるものの、肉付けが不十分な状態。小説の体裁がわかっている人なら、ここまでスカスカにはならないんです。その最大の理由が、脚本的描写を頼りすぎてしまっている点です。恐らく、意図してそうしたのではないのだろうと思います。
基本的に、映像としてカメラで撮影可能な内容は脚本的描写とみなしてください。
例文で比較しましょう。
×:太郎は胸が締めつけられるような思いだった。(映せない:感情の内側)
〇:太郎は苦しげに胸を押さえ、目を伏せた。(映せる:動作と表情)
×:美咲は心の中で叫んだ。(映せない:心の声)
〇:美咲は唇を噛み、声にならない叫びをあげた。(映せる:表情と行動)
×:彼の中に怒りが込み上げてきた。(映せない:内面の変化)
〇:彼は拳を強く握りしめ、睨みつけた。(映せる:外面的反応)
×:奈々は未来への不安に押しつぶされそうだった。(映せない:抽象的な心情)
〇:奈々は肩をすくめ、歩く足取りがどこか頼りなかった。(映せる:姿勢・動き)
×:陽介は決意を固めた。(映せない:内心の決意)
〇:陽介はゆっくりと顔を上げ、真っ直ぐ前を見据えた。(映せる:行動と視線)
映せる描写が小説でまったく使えないわけではありませんが、効果的に使わないと単なる情報羅列になってしまいます。小説は心情描写を通じて読者に物語を体験させるものです。文字だけでジェットコースターやお化け屋敷を体験させるつもりで書く、それが小説に求められる精神です。
しかし脚本の特性を知らず、頭に浮かぶ映像を文字に起こすだけだと、こうした作品になりがちです。執筆が単なる脳内映像の文字化作業になってしまうと、一文一文、一行一行の正確さのチェックに終始し、文章同士の連鎖やリズムを生み出しにくくなります。そのため、3800文字程度のプロローグで「私」が43回も登場していることに違和感を覚えられないわけです。
でも、読んでいて最も強く感じたのはそこじゃないんです。全体的にどこかで見た別の小説のフレーズに、場面の単語を差し替えて作った印象なんです。言葉の用法や慣用句の誤りも散見され、フィーリングで書いていることが透けて見えるのです。その結果、作者の想像した世界観を最適な言葉で描写できていない作品になっています。
まず一度、脚本の書き方を勉強しましょう。そうすれば映像的・心情的が明瞭になり、そのセンスが作品にあった描写を考える基盤になってくれます。
他に、読めば感じる疑問へのフォローがない、一人称が誰だかはっきりしない、場面の状況がよくわからない、場面の素材を活かせていないなど、他の方へ送った構成評価での指摘とも共通点が多いので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
いやそれにしても、チクタクは笑えました。
作者からの返信
ウゴクヨミヒル様
ありがとうございます。
非常に参考になりました。
望んだものの、こうも指摘をされると恥いるばかりです。
やっぱりちゃんとした勉強必要ですね。
『頭に浮かぶ映像を文字に起こすだけだと、こうした作品になりがち』
自分のスタイルからこの文言が一番核心をついているかなと思います。
拙い文章をしっかり読んでいただいて、しっかり批評していただいてありがとうございました。
これを糧に、より精進致します。