第618話 許さん

 ここでドローン三号から送られてくる映像に切り替えてみた。


『おまえ、カイト・キタムラに会ったのか? どんな奴だった?』


 どうやら、解放した捕虜たちのいる場所のようだ。


『一度だけヘルメットを外した顔を見たけど、意外と可愛い顔をしていたわ』


 童顔で悪かったな。


『平然と大勢の兵士を殺していった奴とは、とても思えなかった』


 別に平然とはしていないけど……


『お色気作戦は利かなかったのか?』

『利かなかったも何も、カイト・キタムラと遭遇する前に、天井から変なジジイが降ってきて……』


 どうやらビキニアーマーの女性兵士のようだ。今は服を着ているが……


『まったく、あんな変態ジジイまで仲間に入れるなんて』


 できれば、仲間にしたくないのですけど……


『あのジジイさえいなけりゃ、カイト・キタムラを私の色気でたぶらかしてやれたのに』


 いや、誑かされないから……


『無理じゃないの。あなたの胸じゃ』

『なんですって!?』

『ブラの下にあるのが、パットだとばれて失敗するんじゃないかしら。くくくく』


 あの胸、上げ底だったのか。あやうく騙されるところ……いやいや……そういう問題じゃなくて……


『キイイィィ! 胸が大きければ良いってもんじゃないわよ! それにカイト・キタムラだって、貧乳趣味かもしれないじゃないの!』


 いえ、巨乳が好きです。


『カイト・キタムラの部下は、巨乳女ばかりだと聞いているけど。胸の大きさで、部下を選んでいるのじゃないの?』


 誰だ!? そんなデマ流した奴は!


「隊長。そうだったのですか? 私と森田さんが部下に選ばれたのは、そういう事だったからなのですね」


 橋本君。君は僕をどういう目で見ているのだ?


 そんな分けないだろう。


『カイト・キタムラはドスケベの変態だから、巨乳美女ばかりを部下にしていると、私は聞いたわ』


 僕はミールの方を向いた。


「捕虜の分身体は、まだ消していないね?」

「ええ。そろそろ消そうと思っていたのですが、まだ聞き出したい事がありますか?」

「ああ。だから、消すのはもう少し待っていてくれ」

「はーい」


 分身体たちは、傾斜路内に張ったテントの一つに収容してある。


 僕はテントに入るとビキニアーマー女に質問した。


「カイト・キタムラが、ドスケベの変態だから、巨乳美女ばかりを部下にしていると言っているのはどいつだ?」

「カルル・エステスです」


 おのれぇぇ! カルル! 絶対許さん!

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