第509話 入れ替わり

 Pちゃんが司令塔の壁へ映し出した映像に、ナージャの姿が現れた。


「ナージャ。何かあったのか?」

『爺さんの分身体、連れて行かなかったの?』

「え? 連れてきたけど」

『だって、こっちに分身体がいるわよ』

「なに! どういう事だ?」

『いや、森の中に爺さんがいたので捕まえたのだけど、まったく抵抗しないので変だと思ったら、分身体だったのよね』

「カイトさん!」


 ミールの叫び声が聞こえて、後ろを振り返った。


「分身体が、まだ島に残っています!」


 なんだって! それじゃあ、あのジジイは……


「待てえ! このエロジジイ!」


 今、レイホーに追い回されて《水龍》に飛び移ったジジイにデジカメを向けてみた。


 出現消滅していない? という事は本物!


 森の中を行く途中で、分身体と入れ替わっていたのか!


「ミール。今まで、気が付かなかったのか?」

「すみません。今朝からずっと、自立モードにしていたので。今、コントロールしようとして気が付きました」

  

 完全に油断していた。


「きょほほ! ここは美女だらけで天国じゃのう」

「きゃあ!」


 カミラの尻を撫でてさらに逃げ回るジジイ。


 だが、その先にいるのは……


「きょほほ! こっちにも美女がおった」


 ジジイ。確かにここは美女だらけだが、決して天国ではないぞ。


「何をするか! この変態ジジイ!」

「うぎゃああああ!」


 エラの尻を撫でた直後、ジジイは電撃を食らった。


「エラ!」


 僕は《水龍》甲板上にいるエラに向かって叫ぶ。


「そのジジイに関しては手加減無用だ! 死なない程度にやっていい!」

「む! そうか。しかし、ジジイのもだえる顔など、あまり見たくはないが、司令官殿が言うのなら」


「びぎゃああああああ!」


 ジジイが完全に気絶するまで、エラの電撃は続いた。

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