モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。
第393話 コピー人間の同時複数再生が禁止されている本当の理由
第393話 コピー人間の同時複数再生が禁止されている本当の理由
エラが悪い人に見えない? レイラ・ソコロフという人。少なくとも一つの組織を率いている人なのだから、人を見る目はあると思うのだけど……
「相模原さん。どういう事? エラがリトル東京を攻撃してロボットスーツ二機が破壊されてパイロットが犠牲になったという話は聞いているけど……」
アーニャが不思議そうに訪ねる。そう言えばこの人には、エラの能力については話したけど、エラの異常性については話していなかったな。
「アーニャさん。それについては僕が説明します」
とりあえず、エラの異常性格と僕とミーチャが実際に受けた被害についてかいつまんで説明した。
「そんな事が……北村君。もしかして、さっきはエラの申し出を断るつもりだったのでは……」
僕はアーニャに向かって無言で頷いた。
「ごめんなさい。私、よけいな口出しを……」
相模原月菜も僕の話を聞いて、顔に怒りの表情を浮かべた。
「あいつ、北村君にそんな事をやったの!? 絶対に許せないわ。ソコロフさん。エラは追放よ」
「しかし……」
「本来ならエラ・アレンスキーは銃殺にすべきところを、今まで我慢してきましたがもう限界です。追放して下さい」
「でも、相模原さん。あなた方はナンモ解放戦線の人事には口を出さないという契約のはずですが……」
「そうですけど……リトル東京に多大な損害を与えた奴を受け入れた組織に、リトル東京としては快く支援を続けるわけには……」
「そのことですけど……エラは本当にあなたの言うような事をやったのですか?」
「私が嘘をついているとでも?」
「そうは、言っていませんが……」
どうも話が見えてこない。ただ、一つ分かることは、ナンモ解放戦線側の人達は、エラのコピーが八人いた事を知らないみたいだ。
とにかく、このままじゃ埒があかん。
「ちょっといいかな。二人とも」
相模原月菜はレイラ・ソコロフとの口論をやめて僕の方を向いた。
「その前に聞きたいのだが、エラはリトル東京で何をやったんだ? ロボットスーツ二体が破壊された話は聞いているが、相模原さんの怒り様はそれだけじゃないみたいだが……」
「もちろんよ。ロボットスーツをやられたのは痛かったけど、軍事的経済的損害はそんなに大きくない。それより、奴がリトル東京を襲撃した時にやった事は絶対許せないわ」
何をやったんだ?
「あいつは非戦闘員を平然と殺したのよ。それも学校を襲撃して子供達を……戦術的必然性など何もなく、ただ殺しを楽しむため……あの光景は今でも夢に出てくるわ。絶対に許せない」
もしかして……
「それに対して、ここへ来たエラはなんて言っている?」
「それが、ぬけぬけと『やったのは私ではない』と……奴のやったことは、映像で残っているというのに……」
なるほど……
「それは嘘ではない。実際にそれをやったのは別のエラだ」
「どういう事?」
「さっき、盗聴記録を聞いただろう。その中にエラの話が出てきたが、それは聞いたかい?」
相模原月菜は首を横にふる。
「筆談の音を確認した辺りまで聞いた後は、早送りして最後の所だけ聞いたけど……途中にそんな話があったの?」
「そうか、実はエラは八人のコピー人間が作られたんだ。ここに来たのはその一人で、リトル東京の事件とは関わっていない」
「確かにあいつは自分以外のコピー人間がいるような事を言っていたけど、そんな事信用できないわ。コピー人間の同時複数再生は、帝国でも禁止されているはずですよね?」
相模原月菜の質問にレイラ・ソコロフは無言で頷く。
「ところが三十年前にそれをやった奴がいるんだ。オル……オル……なんて言ったっけ? 芽依ちゃん」
「オルゲルト・バイルシュタインですよ。北村さん」
「そう。その名前の長い軍人が三十年前に、エラを一人再生させた後で、さらに七人を追加注文したのだよ」
「そんな事が……」
「それは本当のことですか?」
今まで無言で僕は話を聞いていたレイラ・ソコロフが徐に発言した。
「本当です。そのうち四人はすでに倒しました。まだ四人残っています」
「なるほど。それを聞いて合点がゆきました」
何が分かったのだろう?
「今から話しましょう。コピー人間の同時複数再生が禁止されている本当の理由を」
え? どういう事だ? 犯罪防止のためじゃないのか?
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