#1

…見慣れない天井………

随分と長い間寝ていた気がする。

体を起こすとそこは見慣れない部屋だった。

随分と長い間使われていなかったような荒れた部屋。

「ここは一体……」

言葉を返してくる人は誰もいない。

ふと、ポケットに違和感を感じた。

手を入れてみると古びた手帳のようなものが入っていた。

───────

所有者情報

名前   木下彩夏

年齢   17歳

武器   大鎌

スキル  シェルター

生存日数 1日

───────

「これは……」

自分の名前も年齢もあっていた。

しかし武器とスキルの項目の意味がわからなかった。

「大鎌?」

周りを見渡してみる。

しかしそこには荒れた部屋があるだけで鎌のようなものはなかった。

手帳のページをめくってみた。

───────

武器…

所有者のみ使用可能

所持者のみ展開、格納可能

スキル:シェルター…

安全地帯、シェルターを維持

シェルター内のアイテムボックスに収容されているアイテムでアップグレード可能

所有者が死亡時に安全地帯、及びシェルターが消失

───────

「うーん…」

よく意味が分からなかった。

「シェルター……もしかしてここがそうなのかな?」

この荒れた部屋がシェルターとは到底思えなかった。

そしてこの武器の項目

展開、格納とはどういうことなのだろうか?

自分の手を見つめてみる。

「…展開」

ボソッとつぶやいた途端、何も無かった空間から突然大きな鎌が光を放って現れた。

「重たっ!」

突然現れた大鎌は両手でやっと持てるような重さをしていた。

「格納っ!」

あまりの重さに叫んでしまった。

すると大鎌はまた光を放って消えてしまった。

「どういうことなの?…」

武器があるという事は危険な人でもいるのだろうか?

取りあえず立ち上がって部屋を見てみることにした。

寝ていた部屋は学校の教室の半分ぐらいの大きさだった。

部屋には壊れたコンロ、冷蔵庫、浄水器などが置いてある。

「壊れてたら何も意味ないじゃない……」

他にも部屋がありそうだったが取りあえず外に出てみることにした。

「ギギギッ……………」

重そうな音がして鉄の入口らしきドアが開く。

その先には…

「えっ……………」

…その先には…ただひたすら、荒廃した世界が広がっていた…。

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