詩・散文

硝子の海底

臆病者の詩【散文】



好きなものがひとつずつ溶けて崩れてく、

その感覚が怖くて、新しいものに手を伸ばした。




知らない人が書いた、知らないうたをうたってみる。

描いた夢を声に出す。


そしたら自分の感覚も、どこかの誰かから借り受けたもののように感じられる。

自分の心から切り離して考えることが出来る。他人事のように思える。


だから悲しい時に悲しい歌を聴いて、つらい歌を歌う。





好きな歌に無感情になりたくないから、今は知らない歌とすれ違っていたい。

ただ「綺麗」だと感じられる音を、感じていたい。


そこにはぶつ切りにされた私の論理的な思考なんて入る隙はないし、

だからこそ私は、私のままでいられる。

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