第133話
まさか。そんなバカな。
と、思いつつもミルトレアちゃんのお父さんに視線を向ける。
ミルトレアちゃんのお父さんは困ったように笑みを浮かべた。
「まあ、そうですね。私が一応、皇太子の肩書を持ってます。」
「ひぇえええええええ~~~~~~っ!!!」
ミルトレアちゃんのお父さんに皇太子だと肯定されてしまいました。
まさか、そんなこんなマザコ・・・ゲフンゲフン。
なにはともあれ、ミルトレアちゃんのお父さんが皇太子だということに私は非常に驚いた。
だって、まさか皇太子だなんてまったく、これっぽっちも思っていなかったもん。
でも、ということは、ミルトレアちゃんは皇女ってことっ!?
どうりでこんな荒れ果てた大地に住んでいる割には話し方や所作に品があると思った。
ん?ちょっと待て・・・。
目の前にいるミルトレアちゃんのお父さんが皇太子殿下だと・・・?
って、ことは・・・だよ。
彼は一体この数十年間、この呪われた大地に対して何をしていたと言っただろうか。
呪いをかけた張本人である神竜に許しを得るために、神竜を探していたとかなんとか。
・・・専門家まで雇って神竜を探していたのか、この人は。
思わず皇太子として大丈夫なのだろうかと心配になってしまった。
胡乱げな瞳で皇太子殿下を見ていることに気づいたのか、皇太子殿下が慌てて両手を顔の前で左右に振った。
「あ、違います。違います。最初は私だって地形の調査とか、地質の調査とかしてたんですよ。ただ、ねぇ、専門家を雇ってみても独学でいろいろ調べて見ても何一つ成果が上がらなかったんですよ。それだけで10年は軽くついやしました。そうして、この地に神竜の呪いの伝承があると知って、それを調べていたんです。」
「あ、そうだったんですか。」
よかった。
意外と皇太子殿下もまともな人だったようだ。
一応地質の調査等はおこなっていたらしい。
それでも、なんの成果も上がらないから神竜に頼った、と。
「それで・・・ミルトレアちゃんが食べるのにも困るほど困窮している理由ってなんですか?」
「えっ・・・いや、そのぉ・・・。」
私が皇太子殿下に確認をすると、明らかに目を泳がせる皇太子殿下。
代わりにミルトレアちゃんがズイッと私の方に近寄ってきた。
「聞いてくださいっ!マユさん!お父様ったら大切な国民の血税を、どこの誰ともわからない流れの神子と名乗るものに全部渡してしまったんですっ!!」
「へっ!?」
「おや、まあ。」
「は、はは・・・。いや、ねぇ。神子様が神竜様と意思を繋げて連絡を取ってくれるというから、それに縋ってみたんだよ。」
あ、やっぱりダメだ。この皇太子殿下。
この集落が困窮していたのって、皇太子殿下の所為だったようだ。
『はぁ・・・。お主らいつまで話しておるのだ。マーニャ様たちがお腹が空いたと言っておるぞ。』
「きゃあっ!」
「うわぁっ!」
「あ。タマちゃん・・・。」
皇太子殿下のダメダメっぷりがわかったところでどうしたものかと空を仰いでいたら、不意になにもない空間からタマちゃんが姿を現した。
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