第98話
まったくプーちゃんはいったい何処に行ってしまったのだろうか。
ボーニャをビックリさせておいていなくなってしまうとは・・・。
「プーちゃん、どこ行ったか知ってる?」
まさか、ボーニャにぶつかって怪我をさせてしまったかもしれないというショックでビックリしてどこかに隠れてしまったのだろうか。
いや、でも、あの猫様至上主義のプーちゃんに限ってそれはないだろう。
むしろ、ボーニャに大丈夫かと不必要なくらいに心配して付きまとうであろう。
そのプーちゃんが、ボーニャをほうって置いてどこかに行くとは。
『ボーニャにぶつかったらポンッと飛んでったのー。』
『それから、パッと光って消えたのー。』
眠っているボーニャの代わりにマーニャとクーニャが教えてくれた。
どうやらマーニャとクーニャとボーニャで一緒にねずみのぬいぐるみをボール代わりに遊んでいたらしい。
そこに魔力が開放されてテンションハイ状態になったプーちゃんが超低空飛行で突っ込んできたとか。
プーちゃん前を見ていなかったな・・・。
咄嗟によけたマーニャとクーニャだったが、ボーニャはよけそこねたらしい。
そして、そのままプーちゃんがボーニャにぶつかったそうなのだ。
「ああー。プーちゃんやっちゃいましたねぇ・・・。」
ポリポリと頬をかきながら、マコトさんがのんびりとした口調で告げる。
どうやらマコトさんにはプーちゃんがいなくなってしまった理由がわかったらしい。
「マコトさんどうして、プーちゃんがいなくなったかわかったんですか?」
首を傾げてマコトさんに尋ねる。
マーニャとクーニャも同じようにマコトさんをまあるい目で見つめていた。
「この国は特殊でね。初代女王様の魔力で猫様たちは守られているんだ。」
「ああ、聞いたことがあります。」
そう言えば、この世界に来てからマーニャたち猫様のことを聞いたことがある。
女神様に猫様たちは守られていると。
だから何人たりとも猫様を傷つけることはできないと。
猫様に危害を加えた者は、例外なく他国に飛ばされたと、そう言えば聞いたことがある。
「ん?猫様に危害を加えたら他国に飛ぶ・・・?」
「ええ。そうなんです。正確には猫様に危害を加えようとしたら、ですけれど。私が思うに、プーちゃんはボーニャに危害を加えようとしたと判断されて飛ばされてしまったんでしょうね。」
「!!?プーちゃん戻ってこれるんですかっ!?」
危害を加えるつもりじゃなくても、プーちゃんのタックルはボーニャに危害を加えようとしたということになってしまうのか。
恐るべし初代女王様の魔力。
「う~ん。今まで戻って来た人がいるって聞いたことがないんだよね。皆猫様のこと大事にしているから悪意を持って猫様に危害を加えようとした人はこの国に入ろうにも入れないだろうし。不注意で猫様に危害を加える人もいないからね。」
「ええっ!!」
『えー。プーちゃんに会えないのぉー』
『プーちゃんいると便利なのにー』
『・・・プーちゃん』
戻って来た人がいないとか。それってプーちゃんにもう二度と会えないっていうこと!?
マーニャたちもプーちゃんに会えなくてショックを受けているようだ。マーニャたちの落ち込んだような声が聞こえてくる。
ああ。
マリアを捜索する上で、プーちゃんの魔力が頼りだったのになぁ。
しかも、転移できないのはこの上なく不便である。
だって、馬車で移動しないといけないんでしょ?もしくは歩きとか。
ああ。プーちゃん戻ってきてっ!!
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