第94話
「マーニャ!それってなんなの!?」
『教えてくださいっ!マーニャ様!!』
思わず、身を乗り出して聞いてしまう。だって、それほど衝撃だったのだ。
まさか、私がすでにプーちゃんたちを元に戻すことができるものを持っているだなんて思わなかった。
いったいどの化粧水なのだろうか。それとも、乳液だろうか。
今、手元にある化粧水と乳液の効果を思い出してもまったく該当するものに思い至らない。
というか、乳液の効果は滑るだけだし。滑っているプーちゃんに乳液を飲ませたらさらに滑るだけじゃない?
もしかして、滑る効果が重複すると打ち消しあったりするのかしら・・・?
でもでも、トンヌラさんはいくらなんでも、乳液じゃ効果がないよね。滑るだけだもんね、きっと。
そうなると、化粧水の効果なのだろうか。
でも、該当する効果のものは無いような気がする。
『ダメなの。マユはもっと自分で考えてみるのー!』
フイッとマーニャはそっぽを向いてしまう。自分で考えねばならないとは思っても、答えがすぐそこにあると思うと、どうしても気が焦ってしまって、答えを聞きたくなってしまう。
『我はもう、滑っていたくないのだ。マーニャ様お願いしますっ!』
プーちゃんが一生懸命お願いすると、マーニャの尻尾がバタンッバタンッと床に数回力強く打ち付けられた。
『答えを聞いてばかりじゃ成長しないの!そんなんだとマリア戻ってこれないの!!』
マーニャはそれだけ言うと、ダッシュで駆けていってしまった。
『マーニャ様ぁ・・・。』
プーちゃんは呆然とした表情で、駆けていくマーニャを見つめていた。
私は、ただマーニャに言われた言葉が頭の中にぐるぐると回っていた。
答えを聞いてばかりだと成長しないって。
痛いところをつかれた。
考えることを放棄した人間の成長はそこで止まる。それ以上は成長しない。
そんなことはわかっていたのに、まさか自分がそうなるだなんて。
マーニャもヒントは教えてくれたんだし。ヒントから自分で答えをなんとか編み出さなくては。
本来であればヒントももらえなくてもおかしくはないんだし。
私は、プーちゃんの前に鞄の中に入っている中身を並べ始めた。
化粧水に、乳液はすでに違うと思われるものばかりなので改めて調べることもないだろう。
あと鞄に入っているのは、おにぎりにひまわりの鉢植え、ソーイングセット、薬草、山の湧き水、ヌメリン草。それから着替え一式だ。
この中の何がプーちゃんとトンヌラさんの症状を元に戻すというのだろうか。
もしかして、この中にあるもので調合するとか?
薬草と山の湧き水だと化粧水だし。
薬草と山の湧き水とヌメリン草だと乳液だ。
となると、薬草とヌメリン草で調合するのかな?いや、でも、薬草とヌメリン草で何ができるんだろうか。
丸薬を作るのかな?
う~ん。今から調合してみるか?
でもなんだか違うような気がするんだよなぁ。
そこでもう一度思い出してみる。私がやりとげなければならないことはなんなのかと。
目的は化粧水を作ることでもなければ、乳液を作ることではない。
プーちゃんの魔力を解放させて、さらにはプーちゃんの滑りを解消することだ。
トンヌラさんは声がでるようにして、話せるようにすること。
つまり、プーちゃんとトンヌラさんを元の正常な状態に戻す必要があるのだ。
ん?
元に戻す?
あ、もしかして!!
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