第27話
「あのー、よかったらユキさんトマトいかがですか?」
トマト持ってきてしまったし。
ユキさんにトマト見せた上で持って帰りますっていうのも気が引ける。
もともと、女王様にあげるものだったし。ユキさんにあげても問題はないだろう。
「まあ!いいの!嬉しいわぁ。」
ユキさんは顔の前で手を組んで喜んでいる。
うん。ユキさんが喜んでくれるならいっか。
女王様は10個と言っていたが、プーちゃんとピーちゃんがそれぞれ10個ずつ取ってくれたからここには20個のトマトがある。
村長さんとユキさんの二人暮らしだとちょっと数が多いかもしれないけど、保管庫にいれておけば大丈夫だよね。
「あ、でも。このトマト他の人には配らないでくださいね。プーちゃんの魔力が篭っているからちょっとアレな効果が付与されちゃってるんです。」
「わかったわ。でも、そんな貴重なものもらっちゃっていいのかしら?」
プーちゃんの魔力が篭っているということを聞いて、ユキさんが綺麗な眉をしかめる。
青竜の魔力が込められたトマトがどんなに貴重なものだかわかったようだ。流石はユキさんである。
「はい。でも他言無用で。鑑定してみればわかると思いますけど、このトマトを食べると魔力の最大値が上昇するそうです。」
「まあ!そんなすごい効果があるのね。プーちゃんさんったらすごいのねぇ。」
「ははは・・・。」
プーちゃんが畑で泣いていた影響ですけどね。
まさか、プーちゃんが畑で泣いていたからとは言えないので黙っておくことにする。
「ハルジオンと二人でいただくわね。ああ、マコトには送っていいかしら?マコトだったら他の人に話すようなことはないと思うし。」
「マコトさんならいいですよ。でも、マコトさんにも他言無用にって伝えてくださいね。」
「うふふ。わかったわ。」
ウキウキとして、ユキさんは転送ボックスにトマトをいれた。どうやら早速マコトさんに送るようである。
ちなみにこの転送ボックス宛先を指定しないと王都の鑑定士さんのところに転送されるが、宛先を指定してあげればその宛先の人の元に直接届くらしい。
便利だなぁ。
宅急便みたいに送料もかからないらしいし。
まあ、宛先を指定すると魔力が多少なりともかかるんだけどね。
荷物を送る距離が遠ければ遠いほど魔力を使うとか。
「あ、マコト?トマト送ったから食べてね。でも、他の人にはあげちゃだめよ。マユさんの特殊な効果があるトマトだから。………うん。わかったわ。」
荷物を送ると同時にマコトさんに念話したらしい。時々、ユキさんの声が漏れてくる。
それにしても、マコトさんってばユキさんからの念話にはすぐに応えるんだね。
魔道具を作成しているとなかなか応えてくれないと思っていたのに。
「マユさん。マコトがトマトありがとうって言っていたわ。それから炬燵がちょうど今出来あがったそうよ。」
「えっ!ほんとうですか!!」
どうやらマコトさんがユキさんの念話にすぐに応じたのは、炬燵を作り上げたところだったからなのか。
それにしても、待ちに待った炬燵である。
というか、思ったより早く炬燵ができあがったなぁ。まあ、嬉しいけどさ。
「マユさんの家に送ったそうよ。」
「ありがとうございますっ!!」
転送ボックスで送ってくれたのかな。楽しみだなぁ~。
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