第18話

 


トマト1つが10万ニャールド・・・。


うちの畑にあるトマト全部売ったらいったいいくらになるのだろうか。


『あくまでもぉ~最低価格ですねぇ~。欲しい人がぁ~いっぱいいればぁ~もっともっとぉ~価格はぁ~上昇するわよぉ~。でもぉ~魔力がぁ~向上するならぁ~欲しいって人はぁ~いっぱいいるかもねぇ~。後はぁ~、このトマトがぁ~量産可能かどうかにもぉ~よるんだけどぉ~。量産できるとするならばぁ~10万ニャールドでぇ~量産がぁ~難しいようならばぁ~落札価格がぁ~10倍になってもぉ~おかしくないわねぇ~。』


鑑定士さんがのんびりとした口調で説明してくる。


そうか、トマトだから量産できるとして1つ10万ニャールドなのね。


でも、量産はできないだろうなぁ~。だって、プーちゃんの涙で育ったようなものだし。


そうすると、1つ100万ニャールドのトマト!?


ひぇ~。そんなトマト食べれないよ。


っていうか、そんなトマトがうちにあるなんて、あのトマト全部でいくらになるのかと計算したら頭が爆発しそうだ。


トマト怖い。


「量産は無理だから1つ100万ニャールドね。ふふふ。払ってもらうわよ?あなたたち。全部で300万ニャールド払ってもらうからね!」


マリアが意気揚々に裕太と優花さんに向かって告げる。


裕太も優花さんも茫然自失だ。


まさか、自分たちが食したトマトが1つ100万ニャールドだったなんて思ってもみなかったのだろう。


トマトが1つ100万ニャールド普通だったら信じられないことだしね。


「・・・払えるかっ!!あんなところにトマトが植えられているのが悪いんだ!」


「そ、そうよ!そんな高いトマトがあんな畑にあるからいけないのよ!!」


復活したと思ったら逆ギレされた・・・。


そんないい訳通用する訳がないだろうに。


まあ、まさかトマト100万ニャールドするだなんて思いもしなかっただろうしね。


「そうだのぉ。まさかトマトが1つ100万ニャールドとは驚きだわい。でも、盗ってしまったのであろう?なら払うしかないのぉ。まさかそれだけの金額を一気に返済しろとは言わぬがせめて毎月少しずつでも返済していったらどおかのぉ?」


まあ、こちらの世界に来たばかりで300万ニャールドも持っているはずないしね。


それに、これから職を探したりしなきゃいけないんだからね。


しかし、村長さんの笑顔もマリアの笑顔同様に怖いんだけれども。やっぱり黒いオーラが篭っているよ。


やっぱり罪を認めず、トマトがあったのが悪いと言い出したからかな。


優しい口調なのにも関わらず有無を言わせぬほどのオーラをまとって裕太と優花さんにトマトを盗んだ弁償金の話をしている。


村長さんもどうやら怒らせてはいけない人物だったようだ。


パッと村長さんの手の中に一枚の紙が出現した。


「これはのぉ、二人のの罪の罪状と償い方を書いてあるものじゃ。裕太殿と優花殿の署名を持って契約が締結される。署名しなかった場合は、世界から弾き飛ばされるから覚悟するとええ。弾き飛ばされたらどうなるか知らぬがな。」


怖いっ!そんな書類があるの。


それ、署名しなきゃダメって脅しているようなものではないか。


裕太も優花さんもブツブツとなにやら文句を言っていたようだが、村長さんの有無を言わせぬオーラと、世界から弾き飛ばされるという言葉を聞いて、コクコクと壊れたおもちゃのように頷きながら書類にサインをしていた。


二人のサインが完了すると紙がピカッと一瞬だけ眩く光り天に消えていった。


「これでお主たちは賠償金を支払わなければ、犯罪者奴隷に落とされる。しっかり働いて払うのじゃ。」


「「・・・・・・・・・はい。」」


二人とも頷くまでの沈黙が長かった。


未だにトマト1つが100万ニャールドということが腑に落ちないようだ。


ちゃんとに支払ってくれるといいんだけれども。まあ、私としてはトマトを売っているわけではないから別に払ってくれなくても痛くも痒くもないけどね。


「おお、そうじゃった。異世界からの迷い人にはサポート役として猫様が1匹ずつつくことになっておるのだ。マーニャ、クーニャ、ボーニャ。お前たち3匹のうち2匹は裕太殿と優花殿のサポートにつきなさい。」


その時、村長さんが驚くべきことを告げた。


マーニャ、クーニャ、ボーニャのうち2匹を裕太と優花さんのサポートにつけなければいけないだなんて。この可愛い子たちと私は別れなければならないの………。


トマトの料金を払ってくれなくてもいいから、マーニャたちを私から引き剥がさないでください。

お金よりマーニャたちの方が尊いんだから。


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