第10話
鶏たちに突かれたり、マーニャたちに引っかかれたり、プーちゃんに雷を落とされたりして満身創痍の二人をヒマワリの下に寝かせるプーちゃん。すると、二人の身体の回りに薄っすらと光の膜が現れた。
『侵入者なのである。治療する必要はあるのだろうか。』
「まあ、でも、やりすぎだから。治療しましょう。」
プーちゃんは憮然とした表情をして、こちらを見てくる。
自業自得っていえば自業自得なんだけどね。過剰防衛な気もするし。
それに、ヒマワリの効果も調べられるしね。
「マユ、ただいまー。時間かかっちゃった。大丈夫だった?」
念のため家の中から外をうかがっていると、マリアが帰ってきた。
「お帰りなさい。鶏さんたちが撃退してくれたから大丈夫。でも、やりすぎちゃったから今ヒマワリの下で回復させてる。」
「えっ!?もう来たの!?大丈夫だったの!!」
「うん。畑のトマトを盗もうとしてた。鶏さんが死守してくれたよ。」
マリアは驚きで目を丸くしているので、経緯を説明した。
「そう・・・。ここは鶏も規格外なのね・・・。」
普通鶏は臆病なので真っ先に逃げるそうだ。それが、真っ先に攻撃を開始する。どうやら普通の鶏と基本的な性格が異なるらしい。
おかしい。普通の鶏を購入してきたはずなのに。
「意識を失っている間に身動きとれないようにしておきましょう。リュリュさんにでも来てもらって村長さんの家に運んでもらうわ。マユはここにいてちょうだい。」
マリアはいつの間にか手にロープを持って外に出ていた。
ここにいてとマリアに言われたが、どうせ二人とも気を失っていて危険はないのだ。それに、マリアだけにやらせるのも忍びないので、私もマリアの後を追いかけた。
「あっ!」
ヒマワリによって傷を癒されている二人を見て私は驚いて声をあげてしまった。男性の方はよく見知った人物だったのだ。そして、女性の方は森で会った時と顔が全然違っていた。
男性の方も森で見たときとかなり印象が違っているから分からなかった。婚約破棄してきた元カレだということに。
「どうして・・・。」
「顔をいじっていたのかしらね。」
「ああ。整形・・・。あれ?胸も・・・。」
「ほんとうだわ。萎んでいるわね。」
顔も身体も女性の方は森で会った時とまるっきり変わってしまっていた。
可愛らしいパッチリとした二重は一重だし、目もかなり小さい。鼻もスッとしていて綺麗だと思っていたのに、ぺちゃっと潰れている。輪郭もえらが張って顔が大きく見える。胸だってけっこう大きくてうらやましかったのに、私と同じくらい小さい。
どうやら整形美人だったようだ。
「ヒマワリの効果すごい・・・。今の怪我だけでなく整形した顔や身体も元に戻してしまうなんて・・・。こわっ。」
「ヒマワリ・・・予想以上の効果だわ。」
男性の方も髪を染めていたし、遠目に見ただけだったからわからなかったけど間違いなく元カレの裕太だった。
ということは、この女性は元カレの二股の相手?
私たちはササッと二人を縛り上げて身動きが取れないようにする。
いくら片方は知り合いだとは言え、泥棒なのだ。念には念をいれても良いだろう。
【悪人に人権はない】って言うし。
そうこうしているうちにリュリュさんがやってきた。なぜか、ザックさんを引き連れて。
「二人いるって聞いたからザックも連れてきたよ。さすがに僕だけで二人を運ぶのはキツイからね。」
「そう。来てくれてありがとう。プーちゃんたちが捕まえてくれて、今意識がないんだけど起こす?」
「無理に起こす必要はないな。騒がれても仕方ないし。」
そう言って、リュリュさんが裕太を担ぎ上げ、ザックさんが女性を担ぎ上げた。
「うぅ~んっ。」
あ、女性の方が声をあげた。目を覚ました!?
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