第42話
「トマト、私が食べる分には大丈夫だよね?」
魔力が上がってしまうけど、副作用はないみたいだし。
「ええ。マユが作っているんですもの。ただ、むやみやたらに人に見せない方がいいと思うわ。このキャティーニャ村の皆は鑑定スキルを持っている人がいないから大丈夫だとは思うけど・・・。」
「そうだね。そうするわ。」
「もし、お裾分けしたいんだったら、ここに呼んで手料理を振舞えばいいと思うわよ?でも、鑑定持ちの人にはトマトを使った手料理は振舞わない方が無難ね。」
信頼する人にだけ料理を振舞うことにしよう。
といってもまだまだ料理は下手なんだけどね。
スキルはあるから美味しいらしいけど、手際がね。見た目もね。
まだまだ人に振舞えるだけの腕前にない。
少しずつ料理の練習をしていかなきゃいけない。
「まあ、トマトにしてはそんなところね。他の作物も気になるところではあるけど、まだ収穫できないしねぇ。」
「そうだね。プーちゃんよく泣いてたから、この畑のものは全て影響が出てそうで怖いね。」
「・・・マユの影響もありそうだしね。」
「あははははっ。」
マリアは「はぁ。」とため息をついた。
どうも、私が無意識にいろんなものに魔力を込めてしまっているので呆れているらしい。
でもしょうがないじゃない。
思っただけで魔力を込めることが出来るだなんて思っても見なかったんだから。
「プーちゃん。ごめんね、もうトマト食べていいよ。」
トマトの鑑定も終わったし、もう食べてしまっても問題ないのでプーちゃんに声をかける。
すると、プーちゃんは自分で縄を引きちぎってトマトに飛びついた。
『マユのトマトーーーっ!!!』
「えっ!?」
っていうか、自分で縄を引き千切れるんだったらプーちゃんを縄でぐるぐる巻きにする必要なかったんじゃ・・・。
プーちゃんは嬉しそうに木に生っているトマトを両手にもいで貪っている。
なんだかとても美味しそうだ。
鑑定するために収穫したトマトをじぃーっと見つめる。
うん。美味しそう。
「マリアもよかったらトマトもいで食べてね。プーちゃんに食べられる前に食べた方がいいよ?」
「ありがとう。じゃあ一ついただくわ。」
そう言って、マリアもトマトを一つもいだ。
そうして私たちは行儀悪く立ったままトマトにかじりついた。
「「おいしいーーーーっ!!」」
久々に食べたトマトはとても美味しかった。
こんなに美味しいのにお裾分けできないなんて。
っていうか、収穫した野菜を売って生活費を稼ぐ予定だったんだけど、全く稼げてないことに今更ながらに気づいた。
でも、この畑の作物ってプーちゃんの涙で売れるかどうか微妙だし。
生活費を稼ぐのって思った以上に大変でした。
生活費、どうやって工面しようかしら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます