第25話
私達はマリアの声を合図に、テレビのある部屋に向かった。
マーニャたちもミルクを飲んだからか化粧水の衝撃からは回復しており、3匹で絡み合うように体当たりをしながら、後ろからついてきた。
「もうすぐだね。」
「そうね。楽しみね。ボーニャ様が手伝ってくれた化粧水のオークションが始まるわよ。」
マリアはそう言って、テレビがよく見える位置に座った。私もマリアの隣に座る。マーニャたちは、私とマリアと村長さんの膝の上に乗っている。
クーニャが私の膝に、マーニャがマリアの膝に、ボーニャが村長さんの膝にそれぞれ乗って毛繕いをしたり、丸くなってみたり様々な姿を見せている。
私の膝の上で丸くなって毛繕いをしているクーニャの頭をそっと撫でる。すると、クーニャからお礼とばかりに私の手をグルーミングしてくれた。
ぐっ。可愛い。
「ほら、マユ。始まるわよ。テレビを見て。」
クーニャをじっと見ていたらマリアに注意をされた。
「ごめん。つい、可愛くて。」
「可愛いのはわかるけれどね。」
マリアも膝の上のマーニャを優しく撫でている。マーニャは撫でられるのが気持ちいいのか目を瞑って身体の力を抜いている。
『今週のぉ~オークションを始めますぅ~!』
突如テレビに映像が映ったかと思うと、オークションの司会進行と思われる女の人の声が響いてきた。
って、このしゃべり方はいつもの鑑定士さん!?鑑定士の仕事だけでなくオークションの司会進行もやっていたの!?
テレビを見ると、赤いふわふわとした髪の長い女性がマイクを持って立っていた。
その隣には机が置かれている。あそこに、オークションにかけられる商品が置かれるのだろうか?
というか、鑑定士さんかなりの美女だった。ボンキュッボンッの悩ましい体つきをしている。
「私、はじめてオークションの中継を見たわ。」
「わしもじゃ。これは限られた人しか見れんからのぉ。」
どうやら、マリアも村長さんもオークションを見るのは初めてのようだ。
聞いたところ、オークションに出品するかバカ高い金額を寄付しないとオークションの中継が見れないらしい。
『今日はぁ~異世界の迷い人さんとぉ~猫様がぁ~合作したぁ~ものすぅ~ごぉ~くレアな商品がぁ~出るからぁ~お楽しみにねぇ~。』
「ふぇっ!?」
「あら。これってマユの化粧水のことかしら。」
「そうじゃろうなぁ。異世界の迷い人自体珍しいからのぉ。そう何人もおらぬしのぉ。」
『ん~じゃあ~オークション始めまぁ~す。まずはぁ~あの異世界からのぉ~迷い人マコトさんのぉ~初期の作品ですぅ~。んっとぉ~炬燵ですぅ~。』
「炬燵っ!?」
「あら、マユったら炬燵知っているの?」
オークションってどんな商品が出てくるのかと思ったら、日本ではそこらで買えそうな炬燵が出てきた。
っていうか、この世界って常春の世界だよね?炬燵必要なくない?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます