第14話
無事(?)にプーちゃんに運んでもらって帰宅した私たちを迎えてくれたのはクーニャとボーニャでした。
家のドアを開けると同時に二匹が飛んで来て、私の足にそれぞれ飛びついた。
軽く爪が立っているから少しだけ痛い。
どうやら帰宅を今か今かと待っていたようである。
いつもより遅くなってしまったからクーニャとボーニャには悪いことをした。
「クーニャ、ボーニャただいま。遅くなってごめんね。すぐ、ご飯を用意するからね。」
まだ腕の中でスヤスヤと寝ているマーニャを部屋に運びベッドの上に寝かせる。
結局、マーニャお気に入りのネズミのおもちゃを探しに行くことはできませんでした。
マーニャが起きたらなんて説明しよう。
とりあえず、クーニャとボーニャが食事を待っているから用意をする。
よっぽどお腹が空いていたようで、二匹はそれぞれのお皿に飛びついた。
はふはふと一生懸命ご飯を食べている。
ふと後ろから視線を感じて振り向くと、プーちゃんがジーッとこちらを見ていた。
「プーちゃん、何?」
『我のご飯はいつでてくるのだ。』
おっと。
プーちゃんのご飯も用意しなければいけないのか。
プーちゃんって本来食事は不要だったような気がするのだが、よっぽど人間のご飯が気に入っているらしい。
「ちょっと待っててね・・・。」
保管庫に何かプーちゃんが好きそうなものがあっただろうか。
私は、保管庫のドアを開けた。
「にゃぁ~・・・。」
すると、後ろから気落ちをした猫の鳴き声が聞こえてきた。
慌てて後ろを振り返ると、マーニャがポテポテと力なくこちらに寄って来て、私の顔を見上げていた。
「マーニャ、起きたの。お腹好いたでしょ?今、ご飯にするね。」
マーニャの分のご飯を用意する。
プーちゃんのご飯は後回しだ。
マーニャの前に、ご飯を入れたお皿を出すがマーニャはお皿をクンクンッと匂いを嗅いだが口をつけなかった。
「マーニャ・・・。もしかして、ネズミのおもちゃが無くて悲しいの?」
頭を優しく撫でながら確認をすると、マーニャが返事をするかのように「にゃあ。」と小さく鳴いた。
どうやらご飯を食べたくないくらいネズミのおもちゃが無くなってしまったことに気落ちをしているようである。
今すぐ探しに行こうにも、外は新月のため月の光がなく、星の僅かな光しかない。
懐中電灯のようなものも私は持っていない。
夜目の利かない私では、この暗闇の中で小さなネズミのおもちゃを探すことは難しいだろう。
「ごめんね、マーニャ。プーちゃんが私たちを運んでくれたときに落としちゃったの。明日、探してきてあげるから今日は我慢して。」
「にゃっ!?」
驚いたように顔を上げ、声を上げるマーニャ。
マーニャはギッとプーちゃんを睨みつけた。ように見えた。
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