第57話


「マリア、落ち着いて・・・」


マリアの目がキッとつり上がっている。

怒ってるよ、マリア。

もしかして、リュリュさんのこと好きなのかなぁ?


「マユっ!なんで、リュリュさん!!リュリュさん・・・」


最初は怒っていたのに、段々と声が小さくなってきて、最後には何を言っているのかわからなくなってきた。

というか、泣いてない?


「マリア、落ち着いて。違うのよ。さっき、アンさんのパンを買いに行っていて、その時リュリュさんに会ったの。そしたら、私が隠し事してたから、気になってここまで着いてきちゃったのよ」


「リュリュさぁんがぁ・・・」


あああ、どうしよう。

マリア涙声だし、目にいっぱい涙ためてるし。っていうか、リュリュさん何か言ったらどうなの!?

って思ってリュリュさんがいた方向を振り向くと・・・リュリュさんが消えていた。


はぁ!?


リュリュさんこんな状態のマリアを置いていくの!?どういうことなの!?


「リュリュさんっ!!どこいったんですかっ!?」


思わず叫んでしまう。

聞こえるとは思っていないけど。

すると、私の声を聞いたマリアが、私の方を見つめていた。


「リュリュさん・・・帰ったの?」


「うん。帰ったのかはわからないけど、いなくなった」


「・・・そう、よかった」


マリアはそう言って涙を引っ込めて笑った。


ん?よかった?

どういうこと??

マリア、リュリュさんが好きだから一緒にいた私に怒ったんじゃないの?


「うふふ。プーちゃん♪初めまして、マリアです。よろしくね」


さっきまで泣いていたのに、ニコニコ笑顔になってプーちゃんに話しかけているマリア。


あれ?プーちゃんの姿を見ても全然驚いてないぞ?


『ふむ。マリアか、覚えておいてやろう』


「ありがとうございます」


プーちゃんも、マリアには優しいようだ。

二人の雰囲気がいい感じだ。

というか、マリア、プーちゃんの名前なんで知ってるの!?


「マユったら不思議?って顔してる。うふふ。リュリュさんってね、女癖悪いんだよー。だから、ああやっていつも追い払ってるの。マユ、駄目だよ?リュリュさんだけは部屋にいれちゃ。焦ったわ。プーちゃんがリュリュさんを威嚇してくれたからよかったけどさ」


「え?ええ?」


どういうこと?

マリアは何故、私の家にリュリュさんがいるって知ってるの?

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