第20話

「気絶しているだけですよ。私は人間は殺しません」


「そうなんだ」


「そうですよ。なのにあいつらは、私を殺そうとするんです。ひどいですよね」


「そうだな」


そのまま草原の先にある森まで飛んで行き、そこで降りた。


俺は早速聞いた。


「なにがあった。ここはどこだ。どうしてこんな所にいるんだ?」


「ちょっと待ってください」


ミミはそう言うとほうきを消し、ニンジンを前方に突き出した。


そしてなにやらぶつぶつと呟きはじめた。


声は小さいし、口調は早いし、その前にもともと俺の知っている言語ではなかったのでなにを言っているのかはさっぱりわからない。


そのまま黙って見ていると、やがてミミが「えいっ」とニンジンを振り下ろした。


すると目の前に円形の窓のような穴が出来た。


その先に見えるのは俺の部屋だ。


「えいっ」


ミミは再びニンジンを振り下ろした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る