第12話

「そうです」


そう言うとミミは右手を上げた。


その手には細長のニンジンがあった。


ミミは「えいっ」という掛け声とともにニンジンをテーブルに向けて振り下ろした。


するとテーブルの上に瞬時に料理が並んだ。


――すごい。


それにしても、ミニスカで長いツインテールでネギを振り回すパソコンソフトのキャラクターなら知っているが、まさか魔女がステッキ代わりにニンジンを振るとは思わなかった。


気付けばミミの手にもうニンジンはなかった。


「こんなもんです」


「すごいね。でももう食べられないよ」


「そうですね。じゃあ。えいっ」


ミミはいつのまにかまた手にしたニンジンを両に向けて振り下ろした。


するとテーブルの上の料理が消えた。



夜になった。


ミミは今お風呂に入っている。


頭の中はピンクの妄想でいっぱいになっていたが、なにもせずにそのままじっと我慢した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る