第10話

朝から魔女が訪ねてきたりしたもんだから。


和也と、明日授業はないし、どうせ暇だからどこかに行こうと約束していたんだ。


「ちょっと出かけてくる」


「はい、行ってらっしゃい」


急いでいくと和也は怒っていたが、誤るとあっさりと機嫌をなおした。


ここがこいつのいいところだ。そのまま二人でぶらぶらした。


二人ともお金のない貧乏学生。


暇つぶしに町を散策するだけだ。


とはいっても、俺の頭の中はミミで溢れかえっていた。


生返事を繰り返していると、ときおり「おいどうしたんだ。なんか変だぞ」とつっこんでくるが、「なんでもない」と誤魔化した。


そのまま三時間ほどぶらつき、安アパートに帰った。



帰ると中は見違えていた。


半ばゴミ屋敷と化していた俺の部屋は、整理整頓されていてピカピカ。


どうやったのかはわからないが、入居したときからあった壁のシミまで綺麗になくなっている。


床も塵一つ落ちていない。


そして卓上テーブルには見たことのない料理が並べられていた。

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