魔女はいかがですか

ツヨシ

第1話

ちょっとした買い物に行った帰りのことだった。


もうすぐ俺のアパートというときに、それは何の前触れもなく起こった。


――あれっ?


さっきまで見慣れた近所を歩いていたと思っていたのだが、なにか景色が歪んで見えたような気がしたその後、いつの間にか目に映る風景がまるで変わっていた。


それはどう見ても映画やテレビで見たことのあるヨーロッパあたりの中世の町並み。


その石畳の道を俺は歩いているのだ。


――なんで? ここはどこ?


薄暗かった。


両側にある二階建ての家からぽつぽつと灯りがもれてはいるのだが、窓からの灯りはまるく小さく、光量も多くはない。


俺にはそれはろうそくの灯りのように見えた。


俺は考えた。


これは中世ヨーロッパの町並みを残す現代の町ではなくて、本当に中世のヨーロッパに来てしまったのではないのだろうか、と。


――んなばかな!


そう考えていると、前方に何かが見えた。


それは道が薄暗いせいもあってか、いきなり目の前に現れた。


それは現れたかと思うと、俺の横をけっこうなスピードで通り過ぎ、そのまま見えなくなった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る