第3話呪いの解き方
翌朝尼僧が全員集まり朝食を食べていた。
蓮はこの時を使って、昨日ご遺体を引き取った事情と呪い鏡に関して尼僧達に説明する。尼僧達から亡くなった人達を悼む声が聞こえる中、寺の規律を担当してくれている尼僧の楓が質問した。
「その呪いの鏡は、守り鏡になれそうですか。」
その質問に難しそうな顔をして蓮が答える。
「今はまだ元婚約者への恨みが強いと感じます。
この後、鏡の呪いの説明をして中の女性がどうするのか。2,3日様子を見たいんです。今はお札で封印していますが、もし守り鏡になれず呪い鏡のままならば供養します。」
尼僧達から悲しそうなため息が聞こえる。
「供養してしまうと、呪い鏡の魂は消滅してしまうんですよね。何とか守り鏡になって成仏への道を進んでくれると良いですね。」
「そうだわ、このお寺の事を話してみたらどうでしょう。守り鏡になって一緒に頑張ってくれるかもしれません。」
「そうですね、そうしましょう。蓮様の説明が終わったら、私達も自分達の話をしに行きましょう。その女性の気持ちが変わるかもしれません。」
「彼女の魂が消滅してしまうなんて事は避けたいですもの。」
尼僧達の優しい言葉に、蓮は嬉しそうに微笑んだ。
蓮は自室に戻ると箱の中から鏡を取り出す。そっと鏡を撫でると鏡の表面が淡く光った。
「キノウノ クヨウ アリガトウ ゴザイマシタ」
鏡がお礼を言うのを聞き、蓮は顔が明るくなる。
「きちんと葬儀が行えて良かったです。あなたの言葉、皆にも伝えておきますね。」
蓮は鏡の呪いに関しての説明を始めた。
「あなたの行った鏡の呪いは、霊力が足らないと呪った本人の魂が鏡に閉じ込められてしまうんです。鏡に閉じ込められた魂は100の善行を積めば、鏡から解放されて成仏できると言われています。
善行を行う鏡は呪い鏡ではなく、守り鏡として敬われているんですよ。」
「マモリカガミ」
「そうです、守り鏡は3つの能力を使って善行を行います。
1つ、持ち主の危機を事前に察知して鏡に映して危機を知らせる。
2つ、見せたい相手にだけ幻を見せる。
3つ、狙った相手を暫くの間金縛りで動けなくする。」
「ワタクシニ デキル? 」
戸惑うような鏡の声に連は優しく言う。
「今すぐ決めなくても大丈夫ですよ。心が決まったら教えてください。」
「ワカリマシタ」
「この寺の尼僧達には全て話してあります。皆優しい人達ですし、あなたの事を心配しています。そのうちに話をしに部屋に来ると思いますよ。」
蓮の言葉を聞いて鏡が軽く揺れる。話を終えると蓮は部屋を出て行った。
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