第24話 エルフの里に着きました。

 御影はレイシャからエルフの里の正確な位置情報を聞き、テレポートの準備をしていた。


「よし、こんなもんかな」


御影は屋敷の庭に直径五メートルほどの魔法陣を描いた。


「これは、なんですの?」


レイシャが首を傾げた。


「テレポートを支援してくれる魔法陣だ。こんなもん無くても大丈夫だろうが、念には念を入れるって事でな」


描いた魔法陣に御影が魔力を流し込む。

すると地面に描いた魔法陣が白く光り始めた。


「よし、じゃあ、そろそろ行くか」


御影はみんなに集まるように伝えた。


「よし、揃ったな。今からエルフの里までテレポートする。魔法陣の上に乗って、俺の腕に捕まってくれ」


その言葉で、クラリス、レイシャ、エマが魔法陣の上に乗り、御影の腕につかまってきた。


「それじゃあ、後のことはよろしく頼みます」

「いってらっしゃいませ」

「気をつけてね」


御影はエルフの里の正確な座標を思い浮かべた。


『テレポート』


一瞬にして御影たちの姿は消え、次の瞬間、エルフの里付近へと転移した。


「ちょっと座標とずれたか。まぁ、初めてにしては上出来だろう。てか、意外と魔力使うんだな」


御影の馬鹿みたいにあった魔力が三分の一ほど減っていた。

転移魔法より消費量が多い。

この程度ならすぐに回復するので問題はないが。


「凄い。本当に一瞬でエルフの里まで来てしまいました」


レイシャとエマは目を見開いた。


「ちょっと座標ずれちまったけどな」

「いえ、ここから歩いて数分したらえるふの里に着きます」

「その前に、クラリス、そのままちょっと動くなよ」

「はい」


『変装』


御影はイリュージョンの魔法をかけ、クラリスの姿を全くの別人に変えた。


「凄い。これ、どうなっているんですか?」


クラリスの変化に皆驚いた様子だ。


「クラリスをそのままの姿で行かせるわけにもいかないと思ってな。変装の魔法をかけてみたんだがどうだ?」

「本当に別人に見えます」

「うん」


レイシャとエマがまだ信じられないといった表情で見つめていた。

まあ、しょせんは変装魔法。

外身だけの張りぼてなのだが、御影はかなりの魔力を突っ込んだので、他の者が解除するのは容易ではない。


「よし、じゃあ、行くか」


御影たちはエルフの里の方に歩みを進めた。

 数分でエルフの里が見えてきた。

里の入り口には門番と思われる男が二人立っていた。

エルフ族にしては珍しい体格のいい、魔法よりも近接戦闘が向きそうなタイプだ。


「おお、レイシャとエマか。そいつらは、何者だ?」


男たちが怪しげな目で見つめてくる。


「叢雲御影だ。王国騎士団の特別顧問をやっている」


御影はギルドカード提示した。

こういう時にこの肩書は便利だと感じた。


「Sランク……だと。叢雲……お前まさか」

「この前まで最強の賢者とか言われてましたけど、それがなにか?」

「そんなヤツがうちに何の用だ?」

「お前さんたちの長老に会いに来た。ともかく通してもらうぞ」

「待て、そっちの女の身分証も出せ」


門番の一人が変装させたクラリスの腕を掴んだ。


「必要ない。彼女は俺の秘書だ」


御影はドスの効いた声で言った。


「それはお前が決める事じゃ……」

「なんか文句あるか?」


御影は全力の殺気を放った。

その殺気に門番二人はガクガクと震え、素直に通すのであった。

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