第10話 メイド喫茶を開店します。
いよいよ開店当日となった。
御影はグレーのワイシャツに紺のネクタイ、黒のジャケットを着ている。
働いてもらう女の子たちは呉服店に作ってもらったメイド服姿である。
「よし、皆揃ってるな。今日からいよいよ開店だ。気合を入れて頑張ってくれ」
「「「はい!!」」」
一応、三階建の建物だが、店舗として使っているのは一階部分のみである。
開店祝いとして、王家や公爵家からも花が送られてきた。
さすがに王様たちが来るわけにもいかないからであろう。
「じゃあ開けてきますね」
御影は店の外に出て、『close』の文字から『open』へと変える。
外には御影の経営する店の開店を待ちわびていたように、行列ができていた。
30席ほどしかない店内はすぐに満席となった。
「おかえりなさいませ。ご主人様。こちらのお席にどうぞ。ご注文がお決まりになりましたらお近くのメイドにお申しつけくださいね」
「すみません、このメイドさんのお絵かき付きオムライスください」
「かしこまりました。お絵かき付きオムライスですね」
杏は丁寧かつ迅速に接客している。
このお絵かき付きオムライスは今日一番頼まれている人気メニューである。
他のメイドも飲み物を出したり、食べ物を出したりと大忙しである。
御影としては、メイドさんとたくさんお話しできるカフェにしたいという願いからは少し外れてしまった。
「まあ、初日だし、数日たてば客もおさまるだろう」
オーナーである御影自身も飲み物を作ったりしている。
食べ物は御影の屋敷で雇っている料理人を何人かこちらに回した。
とてつもなく忙しいが、夢であったメイドカフェを経営することが出来、御影はとても充実していると感じられた。
初日はオープンしてからずっとご主人様、お嬢様方が絶えることはなかった。
金持ちしか雇うことのできないメイドさんがお手頃価格で眺めることが出来るということもあり、この世界でもメイドカフェは好評であった。
休憩もろくに取れなかったが、特に大きな問題もなく初日を終えることが出来た。
「みんな、お疲れさまでした。今日はそれぞれゆっくり休んでくれ。また明日からよろしく頼みます」
御影は店に鍵を掛け、自分の屋敷へと歩みを進める。
クラリスと杏は御影の屋敷に住んでいるのでもちろん一緒である。
「今日は楽しかったわ」
「私もです。初めての事ばかりでしたが、店長としてやっていけそうです」
なんだかんだで二人は楽しんでくれたようで何よりだ。
そして、二日目。
メイド喫茶セルヴァントは正午に開店する。
今日は比較的お客さんの入りは緩やかであった。
「やっぱ初日は異常だったんだよなぁ」
これなら御影が目指す、お話ができるメイドカフェも実現できるであろう。
セルヴァントを開店してから数日、少しずつではあるが、評判は広がっていった。
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