第39話

「仕事が長引く神々や霊獣の、子供達をここで預かっているの」


 弥生さんは子供達を見ながら、私達に言った。


「あなたの友達はすごいわね!あの子達、もう色の作り方を覚えたわ。…貴重な瞬間ね」


「自慢の親友なんです」


 私は結月が誇らしくなった。


 結月と一緒に夢中になって花の絵を描いていた子供たちは、興奮し過ぎたせいか、ドラゴン、鳳凰、獅子、白蛇、小鹿などの姿に変身して、広間の中を飛び回った。


「変身したら、絵を描けないわよ!」


 弥生さんが叱った途端、彼らぱっと人間の姿に戻った。




「これ、よんで」



 紺野君が後ろを振り向くと、小さな子供たちが彼のセーターを引っ張り、人間の絵本を呼んでくれとせがんでいる。



「……僕?」



「うん。おにいちゃん」



「…………」



「よんで!」



「よんでー!!」



 紺野君はあきらめた様に、苦笑いした。




「…………はいはい」




 子供達に囲まれている紺野君を見ながら、大地は言った。



「教える側が習得してないと、子供達には人間の魅力が伝わらない」



 彼は、少し悔しそうに笑った。



「お前らが来てくれて本当に、良かった」



 私もつられて、笑顔になった。



 和音とレニ、それ以外の大きな子供たちが一斉に私を見た。



「今の…見た?」



「…見た!…さくらさんの笑顔!」



「…?」



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