第6話

「……?!」



 何から何まで、理解不能!!!



 ショックが大きくて、言葉が出ない。






 彼は空を見上げた。





 目を瞑って、何かの合図の様な奇妙な言葉を口にしたかと思うと、口笛より高い音が空から響いてきた。



 真昼の空高くからピンクと薄緑色の光が降り注ぎ、彼の体に幾重にも纏いつく。




 みるみるうちに、大地の体は桃色の

 大きなドラゴンに変身していた。



「乗れ、さくら」



 ドラゴンが喋った!



「俺の背中に乗れって言ってんの」



「…どうやって?!」



 小さなため息が聞こえた。



「あーもう!めんどくせえ!」



 ドラゴンはいきなり私の体にその頭をぐるんと巻きつけた。


 私の体は一瞬でひっくり返り、あっという間にその背中に乗せられた。



「とりあえず、お前んち行くぞ!」



 ドラゴンはその大きな両翼を広げ、急速な勢いで空に向かって羽ばたいた。


「わっ!わわわっ!!!」


 私は慌ててドラゴンの首に巻きついている、シルバーの鎖を両手で掴んだ。


「しっかり掴まってろよ!」


ドラゴンの背中からは大地と同じ、雨上がりの草木の香り。そのピンク色の肌はビロードの生地の様になめらかで、想像とは正反対だ。



「ねえ…本当に大地なの?」


 ぷっ、と吹き出す声がした。


「そうだよ」


 …やっぱり大地は、人間じゃ無かったんだ…!

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