回想

2008年。私が高校2年生の頃。

修学旅行では長崎、熊本へと行った。


事前学習では配布された参考書を読んだり、原爆についての映像を見たりとした。

しかし私はただただ冷めた人間だったのか、それとも感情を失くしてしまったのか。

それを読む気にもなれず、映像を見ても何とも思えずに旅行へと向かうことになった。


長崎では原爆資料館を見学し、夜には元ハンセン病患者の方のお話を聞いた。

ここでも何も感じられずにただ時間だけが過ぎていった、そんな気がした。

果たして、この”他人事”の感情を持ったままでよいのだろうか。という気持ちもぬぐいきれないまま、熊本の老人ホーム訪問へ。


ガイドさんの案内が、

「あそこに見えるのが――、慈恵病院。できたばかりの赤ちゃんポストがあります――」

という説明があった。

正直関心がなくニュースを見ない私であったが、「赤ちゃんポスト」というワードはなんとなくの存在で知り、心のどこかで引っかかるものがあった。

その病院の場所がいまいちわからず見ることはできなかったが――。


その引っかかる何かが良くも悪くも「自分を変えるきっかけ」となることも知らずに。

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