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第1回 「記憶」の哭く異世界生活:n

## 概要

異世界転生系。面白かったです! 本作は連載中でまだ未完ですが、続きが気になる作品、というか続きを俺に描かせてくれ! という作品でした。構成面において勉強になるところがあるので、脚本術の勉強してる人は読んでみてもいいかもしれません。

以下ネタバレ感想と分析なので、よければ作品を読んでから続きを読んでください。


今回の作品はこちら。


・「記憶」の哭く異世界生活:

nhttp://ncode.syosetu.com/n5451fu/


ゼロ(https://twitter.com/n1010r0202)さんの作品です。


ジャンルは異世界転生もの。


まず、異世界転生ものの導入には、転生、チート化(異能力の解説)、メインストーリーという類型があります。


で、チート化するときの痛快さみたいなのが異世界転生系の売りの1つなんですが、最近はマンネリ化の面も否めません。つまり、なろうは異能力の解説シーンをどう面白く描き、読者を飽きさせないでメインストーリーに入るかというのが勝負どころになると僕は考えています。


ではこの作品を見てみましょう。


## あらすじ


異世界転生もの。転生したは良いものの異能力が「忘れられてしまうこと」であるため色々詰んでいる主人公。転生した街の人は主人公に親切にしてくれるが、一定の時間が経つと主人公のことを忘れてしまう。そんななか、アイリスという少女だけが主人公のことを覚えてくれていたのだが、やはりそこでも忘れられてしまう。

また主人公は謎の黒い男が人を殺している場面に遭遇し、1時間後にこの街で虐殺が行われると知る。自分のことを覚えてくれている人など一人もいないこの街を守る義理などないと思った主人公だったが、それでも自分はこの街の人々を知っている。見過ごすわけには行かず、街を守るため行動する。


以降は未掲載です。


## 感想と分析

まず、忘れられてしまう、というスキルが良いですね!


また、作品の冒頭ではこの異能力によって主人公がオレツエーせず、むしろ困ってしまいます。先ほど挙げた「異世界転生もののマンネリ化」という問題をそういう演出によって回避しています。


そしてそれ以上に上手だな! と思わされるのが、これらの出来事が説明的な困難ではなく、主人公の危機としてちゃんとストーリーになっているということです。親切にしてくれた街の人々やヒロインに忘れられてしまう、というのはもちろん主人公にとって悲しい出来事ですし、同時に読者もその悲しさに納得ができます。人に忘れられるというのは大体の人にとって悲しい出来事ですから、入り込みやすい課題を与えることで、このお話はうまく読者を惹きつけられていると思います。面白い!


より良くするために、という点を強いてあげるなら、服屋のお姉さんとアイリスに忘れられてしまうシーンが印象として被る懸念があります。アイリスのシーンをもっと絶望的に描く(例えばもっと仲良くなって相手にプレゼントを贈ろうとしたら忘れられているとか、忘却の能力について相談し、親身になってくれたところで忘れられてしまうとか)と、絶望的な展開が続いても読者をより惹きつけられそうです。


まだ導入ですが、読み終わったあとに今後の胸アツな展開をめちゃくちゃ妄想させられました。というかマジで続きを俺が描きたい! そんなお話でした。

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