第79話 女神ミーティア様のお怒り

 私達は門と呼ばれる女神界の入り口を魂の状態で潜り抜ける。


「あら?ここ…どこですの?いつもの神殿ではありませんわ…」

 見渡すと白い森だ。小道が伸びて続いている。


「こっちです…。ザスキア様に何かあったならまず、女神ミーティア様の元へご案内するよう私は仰せ使っております」

 とローゼちゃんが先導する。

 私達はローゼちゃんの後に続くと開けた場所にデンと見たこともない建造物が高く聳え立っていた。鏡のような窓?らしきものが建物の壁面をビッシリ埋めてあり感嘆した。


「何の建造物かしら?神様はこんな所にいるのでしょうか?」

 と言うと、レーナ嬢があっさりと正体を言う。


「何これ?高層ビルじゃん!マジで?」

 コウソウビル???

 前世の世界にある建物なのかしら?とピンと来た。


「アプロディーテワークスです。現世の日本で出版された女性用ライトノベルや乙女ゲームなどの世界へ転生される魂はこちらで大管理して、各担当女神2名に内訳るのです。ザスキア様やレシリア様は元々クラウディアさん達の世界の担当で、どちらかが先に世界を信仰させたら出世コースに乗れるのです」

 とローゼちゃんが説明なさりさっぱりだった。

 レーナ嬢は


「いや、会社かよ!!」

 と思い切り突っ込んでいた!


「レシリア様は明日香様のことでズルをしたし、他の世界の担当女神達にも嫌がらせして営業成績を落として自分だけがトップに立とうとしましたが、ザスキア様が嫌がらせされた子達と組んで女神部長ミーティア様に相談してレシリア様の処罰が決まり左遷されました。


 そのことで恨みを持ちレシリア様が復讐に来られ今回のようなことになったのです。とにかくザスキア様が嫌いなんですレシリア様は。まぁお互いですが」

 とローゼちゃんが言いましたがやはり訳が解りませんの…。レーナ嬢たちはなるほどーとうなづいている。ううっ、私だけもはや付いていけませんわ。


 ジークヴァルト様どこですの?優しく説明して欲しい。


 その建物に入り私はまた驚く。受付にローゼちゃんみたいに羽根を生やした女性が2人いた。


「どうもローゼです。戻りました。取り急ぎミーティア部長にお通し願います」

 と言うと


「ローゼ!久しぶりね!!元気??」

「何かあったの?部長には伝えるわ」

 と白い物を耳に当てた。

 ??


「内線電話よ」

 とコソッとレーナ嬢が教えてくれた。まぁ解らないけど。


「はいはい…そうですローゼが来ました。人間の魂二つに神獣も二つです。判りました。お伝えしますね」

 と白い物を置き、


「ローゼ、ミーティア部長から許可が下りたわ。上がって説明なさい」

 と言うとローゼちゃんが


「ありがとうシルゼット…マルマ…ゆっくりできなくてごめん、またね」

 と私達に付いてくるようにと小さな扉の前に連れてくる。

 するとランプのようなものが着いていきなりガッーと自動的に扉が開いて私はビックリしてレーナ嬢に掴まった!


「ひいっ!!」


「あー…大丈夫ですよー?クラウディアちゃん。これエレベーターってのよー?あたしらの前世ではよくあるのこういうの。上や下に運んでくれる乗り物ね」

 と言う。の、乗り物!エレベーター…これが?

 中に入るとまた扉が勝手にしまりランプが動いていく。??何も動いていないように見える?本当に乗り物なのかしら??


 するとまた勝手に扉は開き外に皆が出るので付いていくと…お部屋の前に連れて行かれてローゼちゃんがノックした。


「お入りなさい」

 と声がしてそのお部屋に入ると綺麗な空間に見たこともないツルツルな机にソファーが有り、奥に綺麗なザスキア様が昔来ていたグレーの服に似たような服を着たどこか上品な服の優しそうな少し年配の方がいた。


「どうも、よく参りましたね。私は女神ミーティアと言います」

 と言うとハクチャーン様とコンチャーン様は同時にひざまづいた。


「女神ミーティア様!神獣ドラグーのハクリュウと申します!」


「同じく!神獣ホワイツコンコンのビャッコと申します!」

 と2人の神獣が頭を下げて私もひざまづいた!


「私は侯爵家令嬢クラウディア・バルシュミーデと申します!」

 と頭を下げる。レーナ嬢は…


「どうも!私は転生者の今は伯爵令嬢レーナ・トラウトナーです!」

 ふふふ、不敬ですわ!!レーナ嬢!いいの??


「ふふっ…どうも皆さん、今貴方達が入ってきてもう頭の中を全て読んだわ!大変じゃないの!まーた、レシリアがとんでもないことをしてくれたわね?しかも社長の弱みを握っているとか?どうせ枕営業でしょ?あのビッチ!」

 それにローゼちゃんは


「ザスキア様は現在赤ん坊にされております。ジークヴァルトの魂と一緒に閉じ込められてザスキアの神殿を乗っ取っています。結界まで張り、違法のダモン摂取で邪神化。もはや手がつけられないくらい堕ちました!」


 と言うとミーティアはその優しい顔を鬼のように変えた。ひいいっ!


「よぉく判りました。これは大罪です!逮捕案件です!今すぐに公安に連絡して執行してもらいますね?邪神化したなど問答無用でクビです!それにレシリア…うちの夫をたぶらかしたこともありますしねぇ…あんのクソビッチがあああ!地の底の煉獄山まで落としてやるわっ!!」

 と怒りで机を叩き割った!


「マジかよ、どんだけだよレシリアビッチ…上司の夫まで…」

 とレーナ嬢が呆れた。


「あの!ジークヴァルト様は無事でいますか?私には何もできないのですか?」

 と言うとミーティア様が


「クラウディア…執行人達と共に参りなさい、レーナ嬢達も。結界を壊す手伝いをしてもらいます!それ!!」

 とパチンと指を鳴らすとそこには私そっくりの人形?がある。皆のもだ。


「女神界で動く仮の器です!攻撃を受けたら貴方たちも痛みを伴いますが血は出ません」


「ありがとうございます!女神ミーティア様!!」

 私達はそれに重なるように入ると本当に生きた身体のようになる。


「凄いなこれは…これでもレーナに●●れば感じるのだろうか?」

 と言うのでレーナ嬢が例のごとくコンチャーン様の頭を床に沈めた!!


 ゴシャーン


「うっ…久々のレーナの愛で痛い…だが血は出とらんな…」

 と言う。


「ふふふ、では皆さん、行きますよ!」

 といつの間にか同じ隊服を着た屈強な天使と神々しい光りの輪を頭に浮かせた美女女神がいた。


「ミーティアよ…邪神が現れたらしいな?」

 とその女神様が拳をボキボキさせている。


「はい、テアナ様!人質はザスキアとジークヴァルトですわ」

 と言うと


「人質まで取るとはな!違法ダモンの摂取まで行くと見過ごせん!クラウディアとか言ったな?」

 と凄い眼圧で見られ私はひざまづいた!


「は、はい!!」


「お前のその髪にはザスキアの加護がついておるな!それは取り込んだダモンまでも砕くことができようぞ!神殺しは人間には出来ぬがダモンだけならお前でも砕ける!


 ジークヴァルトとやらのお前の婚約者を救い出したら取り込んだダモンの心臓を王子の力を使い透けさせそこを砕くのだ!レシリアの捕獲は任せろ!結界を破ったら執行部がレシリアの相手をする間にザスキア達を救い出せ」


 と言われて私は


「はい!必ず!!」

 とテアナ様に誓った。

 そして私達はジークヴァルト様達が囚われている神殿へと向かった。

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