第69話 女神のスポーツドリンク

 銀ピカ神殿で目を覚ました俺は女神界にやってきた。

 女神ザスキアは…マッサージチェアでくつろいでいた…。


「はー…これいいわ…、はい」

 ゆったりくつろいでいる中、お付きの双子の2人がから揚げとビールを持ってやって来た。


「……おい…ザスキアさんよぉ…」

 ザスキアは片目を開けて…


「はいはい、ダモンのことでしょう?判ってるからね、はい」

 と言いまた目を閉じた。


 ブブブブブブウィーン…とマッサージチェアの音がしている。

 ザスキアは目を閉じたままだ。


「おい…寝てんじゃねぇよ!!」

 と仕方なく突っ込むと


「突っ込みが遅いだろおおおおがっ!」

 と殴られた。何でや。


「それでダモンのことだけどねっ!お前ももう知っての通り厄介なイケメンダモンが出てきおった!!」


「何でダモンまでイケメンなんだよ…ほんと…」


「しょうがないでそ?はい!イケメンが出てこないとこの世界成り立たないからさ、はい!んで、そのダモン…というか喋る系の知能の高いダモンは昔人間を喰ってその知識をつけたとされておる!頭のいいダモンはそれだけ知能を持っているというわけだ、はい!」

 げえええっ!人を喰って…知能をつけていったのか!!怖っ!!もうどんな世界だよっ!


「ダモンの王子なんだろ?そのイケメンダモンは!クラウディア大丈夫なの?」


「もちろんクラウディアは狙われる!当たり前ですはい!しかしお前も狙われる!」


「どゆことよ?」

 まさかまたBL的な展開になるやつー?


「違う!BLではなぁぁい!事実…今ダモンに捕まっているカミルの兄の第一公子はイケメンだ!そいつ等は今意識を眠らされ奴の胃袋リストにいる!より完璧なイケメンダモンになる為にな!お前も同様に胃袋リストにされるぞ!そんでクラウディアを嫁にしてダモンの子を作るのが目的だ!人間を滅ぼしダモンの王国をつくる為だ」


「なんやて!!?」


「ほんまや!!」


「せやかてー!」


「やかましわ!!いいか、お前に渡した指輪の光の精霊がいますでしょ?はい!」

 ああ…あの神経質で几帳面な変な精霊ウィルのことか!静電気で髪爆発させて消えた…あの。


「ウィルは一応あれでも最上位の光の精霊なのです!はい!」


「ウィルが…?最上位…」


「ダモンは奇跡の力を持ってしても簡単には浄化できないでしょう!まず弱らせる必要があるのです!特に知能のあるダモンは心臓を二つ持っている!一回では死なないから油断はできないのです!はい!」

 心臓が二つ!!


「そこでウィルの出番です!ウィルの光の魔法でダモンの身体を一時的にスッケスッケにできるのです!!心臓の位置が判るのでそこをぶっ刺して弱らせるのです!はい!」

 なるほど!それなら何とか皆で頑張ればいけるかもしれない!!


「しかし…一つ問題がある!!」


「問題!?なんだよ?」

 ザスキアはポンと肩に手を置いた。


「透ける…」


「!?」


「ウィルのその魔法はダモンの心臓を透けさせることができるが…人間にも影響は出る!つまり!女性の服も透けるのだ!ラッキースケベやね!はい!!」

 なっなななな!なにいいいいいい!!!?


「そそ!そんな!じゃあダメだ!クラウディアとか女性は闘いに参加させるわけにはいかない!」

 クラウディアの裸とか見させられるかああ!!


「しかし…私の加護を持つ能力者でないと知恵待ちダモンの心臓は潰せないでしょう、はい!」

 そんなっ!!

 俺には治癒くらいしかできないのに!!


「まぁ手はあります。コンやハク…それに明日香は幻覚を使うことができるからそれで目隠ししなさいな!まぁコン達がやられたら幻覚が消えてしまうでしょうが!ダモンの王子とやらは強いのでウィルのスケスケ光がその間保つかどうかですね!スピード勝負ですね、はい!」


「でも知恵持ちダモンって強いんだろう?あのチート明日香が喋るダモンに風穴開けられて一回死んだって言ってたくらいだぞ!?物凄く危険だし強いじゃないか!そんなのが何匹もいる中にクラウディアを放り込むなんて!!」

 するとザスキアがまた殴った!痛くないけど!


「ジークヴァルト!お前何でもかんでも無理無理言うなっ!やってみんと判らんだろ!レベルアップすんやろ!?今回は相手が相手やしな!レベルを一気に50くらい追加で上げるからきっと聖塩が手から出せるようになるはずやっ!」

 とザスキアは言った!


「なんだその聖塩って!?」


「簡単に言うとお前の手汗だ!そいつをダモンに浴びせるとナメクジみたいにダモンが縮む!!」


「なんだそれっ!!なんか嫌だ!!響きが!俺の手汗でダモン溶かすとか!かっこ悪い!!」


「じゃあもう中二病みたいにカッコいい名前付けとけよ手汗が嫌なら」

 手汗言うなっ!!後、中二病も嫌だ!!


「それから…あんまり使い続けるとお前の体内塩分が足りなくなって体調不良になって死にかけるかもしれんから注意しろよ?」


「はあああ!?なんじゃそりゃ!?」


「それを補うために一応私の女神の聖水を用意しておいた…これを飲んで回復しつつ闘うがいい!」

 と謎の水筒を渡した………


「………これはなんだ?」


「女神の聖水だ」


「……お前の…あの…まさか…」

 俺は震えた。


「女神の聖水だ」

 俺はバシンと床に投げた!


「つまりあれだろおおおー?汚いな!!お前の体内から出た水だろ!?何かとは言わんが飲めるかああ!!涙だって嫌だったのに!!」

 するとまたブン殴られた!!


「お前はあほか!!ちゃんと飲めるわ!スポーツドリンクみたいやから安心しとけ!むしろもうスポーツドリンクだと思っとけよ!!はい!この罰当りもんがああ!!」

 女神のくせになんてもん持たせんだよ!!

 くっそ!覚えてろよ!!


 こんなもん絶対飲まないようにしよ!!

 仕方なく俺は水筒を持って嫌な顔をすると視界は白くなった!


 *


「ジーク!!」

 クラウディアがいつものようにベッドの側にいた。


「ディア…」


「その水筒は何ですか?」

 と水筒を持っているのにクラウディアが気付いた!


「ぎゃああああ!!触るなディア!!」

 バシンと水筒を投げた。


「え??」

 クラウディアがキョトンとした。


「ま、まぁなんて言うか…お助けアイテム的な飲み物だけど!!本当絶対に飲みたくないやつなの!!こんなん飲むくらいなら死んだ方がいいかもしれない!!」


「死ぬくらいなら飲んだ方がいいですわよ!?…女神様のもの…あの時の毒消しのようなもの?」

 クラウディアが考えて…ちょっと青ざめた。


「まさか…」


「そのまさか!だから俺が死にそうになっても飲ませんでいい!!」

 しかしクラウディアは…


「でも本当にやばい時は使いますわ!ジークに死なれるよりかはいいですからっ!その時は私が口に含み飲ませますから私も一緒ですっ!」

 とクラウディアは赤くなり言った。

 は!クラウディアが凄い可愛いいい!あんなものでも俺の為なら一緒に口に含むとか!!

 くっそ!スポーツドリンク!あれはスポーツドリンク!!スポーツドリンク!!スポーツドリンク!!


 俺は自分に洗脳しつつ、女神界であったことをクラウディアに話したのだった。

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